研究課題/領域番号 |
17H04279
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
國土 典宏 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 理事長 (00205361)
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研究分担者 |
石沢 武彰 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10422312)
浦野 泰照 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (20292956)
秋光 信佳 東京大学, アイソトープ総合センター, 教授 (40294962)
金子 順一 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50328118)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肝癌 / 蛍光ナビゲーション / 蛍光プローブ |
研究実績の概要 |
当該年度も引き続き、研究項目(1)インドシアニングリーン(ICG)蛍光法と先進的検出ツールを駆使した肝臓悪性腫瘍の高感度検出技術の確立を進めると共に研究項目(3)特異的蛍光発光の誘導機構の解明とその治療への応用に関する研究 を展開した。研究項目(1)に関しては、術前の血清アルブミン値とICG R 15値から決定するAlbumin-Indocyanine Green Evaluation (ALICE) gradeと門脈圧亢進の発生の2因子の組み合わせが、肝切除後の腹水発生と肝不全の発生予測に有用であることを示した。研究項目(3)に関しては、ICGの代謝に寄与するトランスポータータンパク質の一種であるNTCP/SLC10A1タンパク質をノックダウンさせると、肝癌細胞におけるICGの蓄積が減弱することを見出した。従って、NTCP/SLC10A1が肝癌細胞におけるICGの特異的滞留性を誘導する機構に関与することが示唆された。一方、ICGの構造が特異的滞留性に与える影響を検討するために、ICGに構造体を付加させた新規合成化合物をOATP1B3やNTCP/SLC10A1をノックダウンさせた細胞に作用させたところ、滞留性の変化がICGと異なることが見出された。この結果は、ICGの特異的滞留性やそれを誘導するトランスポーターとの関連性が、ICGの構造に強く依存することを示唆している。引き続き、ICGの代謝に寄与する他のタンパク質に関して同様の遺伝子工学的手法を用いた解析を進めており、HCC組織におけるICGの特異的滞留性を誘導する機構の解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画で実施予定の研究項目すべてに関して遂行しており、臨床医学及び基礎医学的な内容において総合的に成果を挙げることができている。新規プローブの探索などのような長期的な評価を要する解析において成果の停滞がみられるが、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、本研究で計画されている研究項目(1)ICG蛍光法と先進的検出ツールを駆使した肝臓悪性腫瘍の高感度検出技術の確立、研究項目(2)肝臓悪性腫瘍 の高感度検出に有用な蛍光プローブの探索、研究項目(3)特異的蛍光発光の誘導機構の解明とその治療への応用を進行させていく。これまでに本研究で明らかとなった蛍光法を用いた外科的治療技術及びその応用法に関して総括する。
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