研究課題/領域番号 |
17H04280
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
吉田 和弘 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50230727)
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研究分担者 |
奥田 修二郎 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00512310)
二村 学 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10415515)
大島 貴 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (10448665)
北川 雄光 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (20204878)
沖 英次 九州大学, 大学病院, 講師 (70380392)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | NGS / 胃癌 / ゲノム分類 / 薬剤感受性 |
研究実績の概要 |
2000年代は癌ゲノムの時代として個別の癌の遺伝子異常の解明が進んでいる。次世代シークエンサー(NGS)の開発等の技術革新によって癌ゲノムの特徴が明らかになり、がんゲノムを解析して診断・治療へとつなげるPrecision Medicineへと移行しつつある。アメリカではThe Cancer Genome Atlas (TCGA) と称する癌ゲノムプロジェクトが進行しており、様々な癌種のゲノムが発表された。これはがんの病型分類、薬剤感受性・耐性に関連する遺伝子変化などの可能性からPrecisoon Medicineという究極のTailor-maid 医療の臨床応用に向かっての解析が行われている。欧米サンプルを中心として用いた胃癌のゲノム解析がTCGAによっておこなわれた(75%欧米人、25%アジア人(ベトナム: 15%, 韓国:10%)由来のデータで日本人のデータは入っていない)。これは変異・増幅・メチル化等のゲノムDNA変化に加え、mRNA・microRNA・蛋白発現解析によって、胃癌を4つのサブタイプ(EBV, MSI, CIN, GS)に分類されたがこの結果は、今後治療薬を考えるうえで重要な情報を提供できる可能性を示唆している。今回の研究では、日本人の胃癌ゲノムをCancer Plex [癌関連遺伝子435種類の次世代シークエンサー(NGS)によるゲノムテスト]を用いて解析し、日本人のデータベースの構築および下記の解析を行っている。 (1)胃癌における日本人と欧米人のゲノムレベルでの違い、日本人の胃癌の特徴を明らかにする。 (2)胃癌のゲノム変異データに基づくより的確な薬剤選択を提案する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現時点では本研究参加組織において、研究資材の調達(1.研究サンプルの抽出、2.研究同意の取得、3. DNA抽出用)を終了、DNAクオリティーコンロトールを終了し、NGS解析を行った。今後バイオインフォーマティックス解析を行い胃癌ゲノムの特徴を明らかにしていく。他施設共同研究により、日本人胃癌検体207サンプルを用いた解析が終了し、下段の様にGenome Medinine誌へ発表した。日本人検体は欧米人の結果と同様に4つのサブタイプ(EBV, MSI, CIN, GS)に分類することは不可能ではないが、EBVパターンが極めて少ないこと、CIN パターンが多い事が特徴であることが判明した。特に、 BRCA, ATMなどの遺伝子修復関連因子の損傷が多く見られた。これは、進行胃癌治療に於いて免疫療法の有用な症例が多く存在すること、PERP阻害剤などの新たな治療戦略の構築も可能となる事を意味しているとも解釈できる。
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今後の研究の推進方策 |
現在行っている解析を進めていく。胃癌ゲノム分類から薬剤感受性という面にも注意を払いつつ解析を進めていく。膨大な臨床データ(治療反応性など)との整合性確認作業を進めていく。
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