研究課題/領域番号 |
17H04283
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大西 秀哉 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30553276)
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研究分担者 |
片野 光男 福岡女学院看護大学, 看護学部, 教授 (10145203)
野村 政壽 久留米大学, 医学部, 教授 (30315080)
中村 雅史 九州大学, 医学研究院, 教授 (30372741)
久保 真 九州大学, 大学病院, 講師 (60403961)
山崎 章生 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80404440)
永井 俊太郎 九州大学, 大学病院, 助教 (90755240)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 膵癌 / RBPJ / MAML3 / Hedgehogシグナル / 低酸素環境 / 癌悪性形質 / 抗腫瘍効果 / 浸潤能 |
研究実績の概要 |
本年度は、低酸素環境で大きく変動する遺伝子の中でRBPJ、MAML3、Liprin alpha4、FAM115cの4つに焦点をおいて研究した。RBPJ/MAML3は、固形癌に対する包括的治療法開発を踏まえ、小細胞肺癌細胞株を用いて実験を行った。siRNAを用いてRBPJ、MAML3を抑制した実験ではRBPJまたはMAML3を抑制すると増殖、遊走、浸潤が有意に低下した。浸潤低下のメカニズムとしてMatrix metalloproteinase (MMP)-2/9の発現低下が関与していることが示唆された。またEndothelial mesenchymal transition(EMT)の関与は少ないことが示唆された。さらに、RBPJ、MAML3は抗癌剤感受性に関与する分子であることが分かった。Liprin alpha4についても小細胞肺癌細胞株を用いて実験を行った。siRNAを用いてLiprin alpha4を抑制する実験では、Liprin alpha4抑制により増殖、浸潤が有意に低下した。またLiprin alpha4は抗癌剤感受性に関与することが分かった。またLiprin alpha4はHIF-1alphaの上流に位置して、低酸素環境における癌悪性形質誘導に関与することが分かった。FAM115cの解析では、膵癌細胞株を用いて行った。siRNAや膵癌切除標本を用いて実験を行い、FAM115Cが浸潤に関与する分子であり、予後良好を示唆するバイオマーカーであることが分かってきた。これら実験は、まだin vitroが中心の解析であり、今後は免疫不全マウスを用いたvivoでの解析を行いたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低酸素環境で大きく変動する遺伝子RBPJ、MAML3、Liprin alpha4、FAM115cの癌における生物学的意義が次第に明らかになってきており、癌の病態解明に寄与するデータが蓄積されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、固形癌に対する包括的治療法開発も視野に入れ、低酸素環境で大きく変動する遺伝子RBPJ、MAML3、Liprin alpha4、FAM115cおよびC4orf47を中心に、免疫不全マウスを用いて治療実験を行い、治療標的となるか、新規治療法となるか、新規バイオマーカーとなるか、について検証したい。
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