研究課題/領域番号 |
17H04284
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大内田 研宙 九州大学, 大学病院, 講師 (20452708)
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研究分担者 |
岩本 千佳 九州大学, 医学研究院, 特任助教 (10752842)
大塚 隆生 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20372766)
村田 正治 九州大学, 先端医療イノベーションセンター, 特任教授 (30304744)
宮坂 義浩 九州大学, 大学病院, 助教 (40507795)
藤田 逸人 九州大学, 医学研究院, 助教 (40611281)
池永 直樹 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90759755)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 膵臓癌 / オルガノイド / 基底膜 / 膵星細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では膵オルガノイドにより in vitro で基底膜を再現し、膵星細胞存在下における癌細胞の基底膜破壊から周囲間質へ浸潤する過程をリアルタイムに解析することで、膵星細胞による基底膜破壊、基質リモデリングから間質浸潤への機序を解明することを目的とする。 3次元共培養モデルによって、ヒトやマウスの膵切除組織から分取した膵管上皮細胞および膵癌細胞を用いて膵オルガノイドを樹立し、樹立した膵オルガノイドと膵星細胞で3次元共培養モデルを作成した。まず、膵癌オルガノイドを作成し、充分に管腔構造・基底膜構造を確認することができた。さらに、このオルガノイドを用いて基底膜破壊の様子をタイムラプスイメージングで観察することで、基底膜破壊を誘導する細胞を検索し、そのメカニズムを解析した。膵癌オルガノイドと膵星細胞の3次元共培養モデルにおいて、オルガノイドは基底膜および管構造を失い、単培養のオルガノイドよりも頻繁にコラーゲンマトリックスに浸潤した。さらにオルガノイドに対する膵星細胞の直接接触が、基底膜破壊の直前に観察された。膵星細胞でのMMP2またはMT1-MMPノックダウンは、膵星細胞によるオルガノイドの基底膜破壊を有意に弱め、管腔構造を維持させた。これらの結果から膵星細胞による直接接触が、膵星細胞上のMT1MMPに結合するMMP2を介した膵癌の基底膜破壊および間質浸潤を誘導することが示唆された。これらの研究結果を学会、論文で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3次元共培養モデルによって膵オルガノイドを樹立し、基底膜破壊から間質浸潤といった癌細胞の進展をタイムラプスでのリアルタイムイメージングで観察することによって、基底膜破壊に膵星細胞が関わっていることが示唆され、その機能にMMP2やMT1MMPが関わっていることを示した。これらの内容を学会・論文で発表し、一定の進捗があったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
樹立したオルガノイドとリーディング膵星細胞との3次元共培養で得られる細胞外マトリックスの質的・量的特徴の変化と基底膜破壊との関連について検討する。また、膵オルガノイドのマウスへの膵星細胞共移植腫瘍モデルや自然発癌遺伝子改変マウスによるin vivo 機能解析およびヒト切除組織の病理学的・免疫学的解析を行う。
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