研究課題/領域番号 |
17H04285
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
夏越 祥次 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70237577)
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研究分担者 |
佐々木 健 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, その他 (00418849)
盛 真一郎 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (00620519)
新田 吉陽 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (20725733)
前村 公成 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (30398292)
内門 泰斗 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 特任准教授 (30464465)
喜多 芳昭 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, その他(移行) (30570692)
有上 貴明 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (40527058)
貴島 孝 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (50791555)
喜島 祐子 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (60381175)
上之園 芳一 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (60398279)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 食道癌 / 微量癌細胞 / リンパ節微小転移 / 化学放射線治療 |
研究実績の概要 |
胸部食道扁平上皮癌のリンパ節微小転移に対する術前化学放射線療法の影響について 術前化学放射線療法(nCRT)は微小転移を制御することにより予後を改善すると想像されるが,食道扁平上皮癌のリンパ節微小転移に対するnCRTの影響とその意義に関する報告はほとんどない.食道扁平上皮癌患者においてnCRTのリンパ節微小転移におよぼす影響と臨床的意義について検討した. 対象は1997年から2001年に当科で前向きに無作為に割り付けられた進行食道扁平上皮癌患者41例(手術単独群:21例,nCRT群:20例).摘出したすべてのリンパ節に対し,通常行われる病理組織学検索に加え,抗サイトケラチン抗体により免疫組織学的に微小転移の検索を行い評価した.リンパ節微小転移を,①周囲間質反応を伴いclusterを形成する微小転移(MM, Micrometastasis)と,②周囲間質反応を伴わないsingle cellの微小転移(TCM, Tumor cell microenvironment)のいずれかに分類し評価した.nCRTは低用量CF療法(CDDP 7mg/body, 5-FU 350mg/body)を同時併用し40Gy行った. 手術単独群ではnCRT群に比べ有意にMM ± TCM と TCM の検出率が高かった.41例の検討で,リンパ節転移陽性かつリンパ節微小転移陽性の症例は,そうでない症例に比べ有意に予後不良であった.nCRT群においても同様に,リンパ節転移陽性かつリンパ節微小転移陽性の症例は,そうでない症例に比べ有意に予後不良であった. 進行食道扁平上皮癌においてnCRTはリンパ節微小転移の制御に有用であった.病理組織学リンパ節転移とリンパ節微小転移を同時に評価することは予後予測に有用であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は化学放射線治療を施行した食道癌症例で,リンパ節微小転移の存在とその臨床的意義を検討した.手術群では術前化学放射線療法群に比べ,リンパ節微小転移の頻度が高率にみられた.リンパ節転移陽性かつリンパ節微小転移陽性の症例は,そうでない症例に比べ有意に予後不良であった.進行食道扁平上皮癌において,術前化学放射線療法はリンパ節微小転移の制御に有用であった.病理組織学リンパ節転移とリンパ節微小転移を同時に評価することは予後予測に有用であった.以上のことを明らかにすることができた.
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今後の研究の推進方策 |
微量癌細胞の分子標的治療への応用:胃癌症例でCellSearch Systemを用い,微量癌細胞の遺伝子発現をみることにより治療への応用について検討する.上述したようにEGFRやHer2/neuの発現は確かめられており,症例を追加して検討を進める. 原発巣と血中遊離癌細胞でのEGFRやHer2/neuの発現の差異を解析する. オルガノイドを用いた研究:予備実験として,すでにKi67やp53の発現を調べることにより,オルガノイドを用いた評価が可能であることは検証済である.さらに生検組織標本から作成したオルガノイドを用い,分子マーカー(EGFRやHer2/neu,EMT, cancer stem cellなど)の発現を調べ,臨床応用の可能性について検討する. 化学療法あるいは化学放射線治療耐性の微量癌細胞の特性について:化学療法や化学放射線治療施行後の切除標本(原発巣,転移リンパ節巣)で残存微量癌細胞の特性を検討する.術前治療を施行した胃癌について解析を進めていく.
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