研究課題
平成29年度から、ビーグル犬を使った実験を開始した。温虚血モデルとしてラットでの先行研究と同様に、左肺門部クランプモデルにて、水素水の胸腔内灌流による効果を検討した。温虚血時間は3時間とし、温虚血中に胸腔内に水素水を灌流させ、再灌流後右肺動脈をクランプして左肺の評価を行った。対照群には生理食塩水を胸腔内に灌流させた。結果は肺機能・酸素化能を含む生理学データおよび肺組織学的検査で対照群並びに水素群において有意な差は認めなかった。原因としては胸腔内に灌流させる水素水の量が少ないこと、ビーグル犬の肺が大きいため胸膜を透して、十分に水素が肺中心部まで拡散しないことが考えられた。水素水の胸腔内灌流量を増加し、再度実験を行うも2群間に差は認めなかった。そこで、冷虚血モデルとして、ビーグル犬の左片肺移植モデルを用いて、水素含有臓器保存液による肺のフラッシングおよび浸漬による肺保存の効果を検証する実験を開始した。冷虚血時間は検討を重ねて、21時間に設定した。水素濃度を維持するためにアルミバックに肺を入れて保存した。肺のフラッシングに関しては、ドナー犬の手術の際に順行性、逆行性に還流させ、21時間後の移植の直前に再度順行性、逆行性に還流して、移植を行った。移植後は、グラフトが再灌流してから15分後に対側の肺動脈を結紮して、グラフト肺の機能評価を行った。現時点ではまだ予備実験の段階の結果であるが、再灌流後30分時点での動脈血酸素化が有意に水素群でよい傾向が出ている一方で、再灌流後4時間の時点では、差が消失している。その原因の一つとして肺の保存液中の水素濃度の低下が考えられたので、肺の冷保存状態を再度検討し、水素濃度を維持できる環境を準備し、実験を重ねる計画である。
2: おおむね順調に進展している
ビーグル犬を使った実験を開始した。現時点ではまだ予備実験の段階の結果であるが、動脈血酸素化が有意に水素群でよい傾向が出ている一方で、再灌流後4時間の時点では、差が消失している。その原因の一つとして肺の保存液中の水素濃度の低下が考えられたので、肺の冷保存状態を再度検討し、水素濃度を維持できる環境を準備し、実験を重ねる計画である。
水素濃度を維持できる環境を準備し、実験を重ねる計画である。
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