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2018 年度 実績報告書

iPS細胞を用いた皮質脊髄路再構築による運動機能再生

研究課題

研究課題/領域番号 17H04302
研究機関京都大学

研究代表者

高橋 淳  京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (10270779)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード神経再生
研究実績の概要

脳血管疾患の患者数は100万人を超え、その後遺症による運動麻痺は要介護原因の1位を占める。その他、頭部外傷や筋萎縮性側索後遺症(ALS)など皮質脊髄路を形成する大脳運動ニューロンの障害のために非可逆的な運動機能低下に陥る患者は多く、患者福祉はもちろん医療経済的にもその治療法開発は急務である。本研究では、細胞移植と遺伝子治療の相乗効果により皮質脊髄路を再構築し、運動機能低下に対する再生医療技術の確立を目指す。
これらの背景に基づき、達成目標は、①ヒトiPS細胞由来大脳運動ニューロンの移植による皮質脊髄路の再構築、②遺伝子治療によるホスト脳環境の至適化であり、③これらの組み合わせによる相乗効果を目指す。この成果は脳血管障害患者の症状改善だけでなく、全ての脳機能障害患者の症状改善に対する本質的かつ革新的治療アプローチとなる可能性を含んでいる。
2018年度はヒト多能性幹細胞(ES細胞、iPS細胞)からの大脳オルガノイドに成功した。神経誘導環境下で浮遊培養を行うと、初期大脳様の層状構造が観察され、免疫組織学的解析によりventricular zone、intermediate zone、cortical plateであることが確認された。この成果は国際誌に採択され、2019年度に発刊予定である。また、この大脳オルガノイドをマウス脳に移植したところ、脊髄への軸索伸展が認められた。現在、分化誘導のどの時期の細胞が移植に適しているかを検討中である。
また、マウス胎仔脳を成体マウス脳に移植しさらに運動をさせることによって、運動をしない場合に比べて脊髄への軸索伸展が促進されることを明らかにした。この成果も国際誌に採択され、2019年度に発刊予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒトES/iPS細胞からの大脳オルガノイド誘導に成功し、さらにマウス脳への移植で細胞生着と軸索伸展を確認した。さらに、運動を加えることで脊髄への軸索伸展が促進されること、すなわち、ホスト脳の環境が移植細胞の機能に影響を与えることを明らかにした。

今後の研究の推進方策

ドナー細胞については、より安全かつ効率的な移植ができるように、皮質脊髄路再構築に関わる細胞成分を明らかにし、それらを純化する方法を探る。また、ホスト脳環境を至適化するため、細胞生着や軸索伸展を促進する因子を明らかにする。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] 細胞の自己組織化能によって形成されるヒト多能性幹細胞由来の海馬、 大脳皮質、および脊髄、大脳皮質組織とその神経活動へのアプローチ2019

    • 著者名/発表者名
      坂口 秀哉
    • 学会等名
      奈良先端科学技術大学院大学  研究科セミナー
  • [学会発表] ENRICHMENT OF MOUSE SUBCEREBRAL PROJECTION NEURONS USING L1CAM2018

    • 著者名/発表者名
      Bumpei Samata
    • 学会等名
      ISSCR Annual Meeting 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] SELF-ORGANIZED SYNCHRONIZATION IN HUMAN NEURONAL NETWORK ACTIVITY DERIVED FROM CEREBRAL ORGANOID2018

    • 著者名/発表者名
      Hideya Sakaguchi
    • 学会等名
      ISSCR Annual Meeting 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] 細胞の自己組織化能によって掲載されるヒト多能性幹細胞由来の大脳オルガノイド~イメージングによる多面的評価と新しいアプローチ~2018

    • 著者名/発表者名
      坂口 秀哉
    • 学会等名
      第1回イノベーションフォーラム・ジャパン大阪-再生医療研究を'治療'に繋げる最先端技術
  • [学会発表] 細胞の自己組織化能によって形成されるヒト多能性幹細胞由来の海馬、大脳皮質、および脊髄組織2018

    • 著者名/発表者名
      坂口 秀哉
    • 学会等名
      金沢大学(河崎洋志研究室)セミナー
  • [学会発表] Self-organized human neuronal network activity derived from cerebral organoids2018

    • 著者名/発表者名
      Hideya Sakaguchi
    • 学会等名
      Neuroscience 2018 Annual Meeting
    • 国際学会
  • [産業財産権] 大脳皮質細胞からのL1CAM陽性細胞の取得およびその細胞製剤としての使用2018

    • 発明者名
      高橋 淳、佐俣 文平、佐野 徳隆
    • 権利者名
      高橋 淳、佐俣 文平、佐野 徳隆
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2018-247960

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公開日: 2020-03-17  

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