研究課題
脳循環代謝検査は脳卒中の予防や診療において重要な役割を果たしているが、ゴールドスタンダードであるPETやアセタゾラミド(ACZ)-SPECTは、侵襲性・汎用性・即時性・経済性の点で課題が多い。そこで、MRIによる拡散・灌流・磁化率画像を統合することで、脳血流量(CBF)、血管反応性(CVR)、脳血液量(CBV)、脳酸素摂取率(OEF)などの機能画像を高精度に算出・推定する独自の画像解析法・判定法を開発し、慢性脳虚血や急性期脳梗塞における精度検証を行うことで、PET・SPECTの代替となりうる次世代無侵襲脳循環代謝検査法を確立する。本研究によって、発症・合併症予測や重症度評価が容易となり、治療戦略の決定や有害事象の予防に寄与することが期待できる。当該年度は、前年度まで開発・改良・精度検証を行った独自の各種手法を用い、慢性脳虚血・急性期脳梗塞における貧困灌流・虚血ペナンブラの診断能を検討した。IVIMでは、慢性脳虚血におけるIVIM-CBVがSPECT-CBF・CVRと有意な負の相関を示すことを明らかにした。ASLでは、Hadamard符号化や低解像度多時相撮像による通過時間補正と血管信号抑制を併用することで、従来法の欠点であったCBFの過大評価・過小評価を解決するとともに、もやもや病においてもSPECT-CBFと高い相関を示すことを明らかにした。Single-slab MRAでは、軟膜血管側副血行路の発達を示す所見が、SPECT-CVRと高い負の相関を示すことを明らかにした。QSMでは、多時相撮像を実施することで、ACZ投与後早期の磁化率上昇がPET-CBV上昇を反映することを明らかにした。さらに、急性期脳梗塞において、QSM-OEFがSPECT-CBFと高い負の相関を示すことを明らかにした。上記の各種手法は、貧困灌流や虚血ペナンブラの新たな無侵襲指標となりうると考えられた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Stroke and Cererovascular Diseases
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American Journal of Neuroradiology
巻: 41 ページ: 785~791
10.3174/ajnr.A6508