研究課題/領域番号 |
17H04313
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
廣畑 聡 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (90332791)
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研究分担者 |
大月 孝志 岡山大学, 保健学研究科, 非常勤研究員 (10534802)
渡辺 彰吾 岡山大学, 保健学研究科, 准教授 (20548341)
西田 圭一郎 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (80284058)
冨田 秀太 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10372111)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 遺伝子 / メタロプロテアーゼ |
研究実績の概要 |
変形性関節症の領域で重要なADAMTS遺伝子を制御するmicroRNAの働きが相次いで報告されている。microRNAの機能として興味深いのは、自身が作られた細胞にのみ作用するのではなく、エクソソームと呼ばれる微小な小胞に内包されて細胞外へ分泌され、エクソソームが取り込まれた先の新たな細胞でも作用しうるためで、新たな情報伝達メカニズムとして注目されている。 本研究の目的は、変形性関節症で重要な働きをするADAMTSや関連分子を標的とするmicroRNAが含まれるエクソソームを分離し、microRNAを含んだエクソソームがどの様に細胞に取り込まれて機能するのかを明らかにすることでその役割を統合的に解析することである。 2018年度はmicroRNAが機能発揮するメカニズムとしてのエクソソームがどのように細胞にとりこまれるかの解析を行った。エクソソームを蛍光標識した後に、培養ヒト関節軟骨様細胞の培地中に蛍光色素付加エクソソームを添加し、時間経過とともに細胞内へ取り込まれるかについて検討を行った。添加直後および6,12,24時間後において細胞を固定し蛍光観察を行ったところ、時間経過とともに取り込まれたエクソソームを確認できた。このエクソソームの取り込み機構として、クラスリン依存性エンドサイトーシスの中心的分子であるダイナミンを阻害するダイナソアを添加したところ、予想通り取り込みが阻害された。 さらに、ADAMTSを標的とするmicroRNA候補配列を用いて、RNAサイレンシングおよび強制発現する実験系を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画であったエクソソームの取り込み機能を明らかにすることができたと同時に、蛍光標識したエクソソームが細胞内に取り込まれる様子を観察することに成功した。 細胞内取り込みに関しては、電子顕微鏡を用いた金コロイド粒子による免疫電顕法により、細胞内でのエクソソームの局在に迫る実験まで実施することができた。 さらに、候補microRNAを強制発現及びRNAサイレンシングにてノックダウンする実験系の構築にも成功した。これにより、候補microRNAの機能解析を行うことが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
候補microRNAが標的遺伝子に作用することを確認するとともに、サイトカインなどの刺激によって当初の目論見通りに発現変動をきたしているかを確認するステップが必要になると考えている。 アレイ解析とリアルタイムPCRによる定量解析では、その解析手法の違いから発現変動が異なることも予想され、その際には改めてアレイ解析と定量PCRで同様の変動を示す候補配列を探索し、どちらの候補microRNAがより主体的な役割を果たしているかについても検討を行う。
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