研究課題/領域番号 |
17H04315
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小戝 健一郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (90258418)
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研究分担者 |
近藤 亨 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (30270573)
三井 薫 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (40324975)
永野 聡 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (50373139)
伊地知 暢広 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (80380624)
入江 理恵 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (90381178)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 癌 / ウイルス / 遺伝子 / 免疫学 |
研究実績の概要 |
我々は、遺伝子ウイルス治療のm-CRAベクターを独自開発し、第一弾のSurv.m-CRA医薬は骨軟部肉腫患者へのFirst-in-humanの医師主導治験を実施中である。本研究の目的は、骨軟部肉腫の根治を目指し、癌(肉腫)幹細胞の悪性化除去遺伝子、免疫誘導遺伝子を搭載したm-CRA医薬を開発し、腫瘍溶解・免疫誘導・癌幹細胞制圧の革新的な遺伝子ウイルス治療法を開発することであり、平成29年度は以下のような研究実績を上げた。 1.各種の治療遺伝子を発現する新規Surv.m-CRAの作製と調整: 独自開発の3プラスミドシステムのm-CRA作製技術で各種の治療遺伝子を搭載する新規のSurv.m-CRAを作製、調整した。作製したウイルスは正しい治療遺伝子が組み込まれていることを確認した後に、調整・純化して実験用に準備した。 2.作製・調整した新規Surv.m-CRAのin vitroでの機能解析: 今回の研究では①従来のSurv.m-CRAの腫瘍溶解作用に加えて、②全身性の抗腫瘍免疫誘導、③抗腫瘍免疫賦活化、④癌幹細胞の悪性化を除去作用の、誘導を期待している。本年度はこれらを検証する機能解析実験をin vitroの実験系で行い、上記の効果について検証を進めた。また幾つかの新しい実験系、特に今回ターゲットとしている新規の遺伝子のタンパク質についてのは、新規にELISA系やWestern blotなどによる目的タンパク質の発現、その機能解析の実験系が必要で、それらの確立も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的とした新規のウイルスは順次作成した。 In vitro機能解析の実験も本年度予定通り開始し、基本的には想定した結果を得ることができたが、ただ予想と異なる結果が出たものも一部見られた。本研究の最終的な目標は、最良の治療法の開発・確立であるため、これらのウイルス自体の基本的な性能、また前項に記載した4つの重要な観点には、詳細・慎重な解析を初期から行うことが重要である。よって、さらに詳細なin vitroでの特性解析(特にウイルス増殖速度、腫瘍溶解効果、癌特異性など)の検討が必要であると判断し、これらの本年度(平成29年度)のin vitro機能解析の詳細な追加実験を翌年度(平成30年度)に引続き行うこととした。 これは研究自体が遅れているというよりも、研究結果に合わせた最適の選択を随時しているものであるため、研究自体の進捗状況としてはおおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
前項に記載した4つのポイントに注意しながら、平成30年度にin vitroでの機能解析の大枠の実験を行う。また新規作製・調整したこれらのSurv.m-CRAを、in vivoの動物実験を実施するために、大量調整と純化を行う。この準備を進めた後に、動物モデルでの治療実験を行う。
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