研究課題/領域番号 |
17H04317
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
片桐 岳信 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80245802)
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研究分担者 |
自見 英治郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (40276598)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 異所性骨化 / 石灰化 / 骨格筋 |
研究実績の概要 |
本研究においては、出生後の脊椎動物における軟骨細胞や骨芽細胞の分化制御機構とその前駆細胞を明らかにすることを目的に、遺伝子改変マウスや培養細胞を 用いて、特に病的な状況下での骨形成(および石灰化)の分子レベルでの調節機構の解析に取り組んでいる。胎生期の骨格形成のみならず、出生後の骨再生や異所性骨化で認められる内軟骨性骨化は、はじめに軟骨細胞による軟骨組織が形成され、それを鋳型として骨芽細胞による骨組織が形成される。異所性の内軟骨性骨化誘導因子としてBone Morphogenetic Protein (BMP) が知られており、本研究でもBMPの移植モデルを用いた解析を中心とする。我々は、BMPシグナルを伝達する膜受容体の機能を解析し、特定のアミノ酸残基の機能に着目している。本年度、BMPによる異所性骨化への役割を解析するために、受容体の遺伝子を改変したマウスを作製した。また、生理的な骨形成の中で、特に内軟骨性骨化と呼ばれる様式が亢進した遺伝子マウスを樹立し、その分子メカニズムを解析している。従来とは異なるメカニズムが想定された。石灰化に関して、予備検討の結果が再現できなかったが、その後の解析で一部試薬のロット差が原因である可能性が判明した。生化学的な解析と組織学的な解析法を併せて導入することで、より正確な異所性石灰化の解析が可能になると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
骨形成とは異なり、異所性の石灰化が起こる病態モデルを解析している。予備検討において、アルカリホスファターゼ活性との関連が示唆されていたが、このときの免疫染色に用いた抗体の非特異的なシグナルである可能性が示された。現在、新しい抗体と共に、酵素活性染色法を導入し、石灰化との関連を解析している。
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今後の研究の推進方策 |
BMP受容体の遺伝子改変マウスは、まず、ヘテロ接合体同士を交配してホモ接合体を取得し、骨格の表現形室を解析することで、生理的骨形成におけるBMP受容体の役割を解析する。さらに、離乳後のマウスにBMPを移植し、異所性骨化における受容体の役割を併せて解析する。 生理的な骨形成が亢進した遺伝子改変マウスは、その分子メカニズムの解明に取り組む。特に、これまでに骨形成に重要なことが判明しているWntシグナルについて、細胞内シグナル伝達分子や、細胞外でのアンタゴニスト等を含めて発現量の変化と骨形成の関連を検討する。 異所性石灰化は、安定的に筋組織に石灰化を誘導できる実験条件を確立した上で、石灰化制御分子の発現変動を解析する。また、石灰化部位の組織学的な解析を行い、石灰化の核が形成される部位を明らかにする。
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