研究課題
本研究においては、出生後の脊椎動物における軟骨細胞や骨芽細胞の分化制御機構とその前駆細胞を明らかにすることを目的に、遺伝子改変マウスや培養細胞を 用いて、生理的骨形成に加えて病的な状態における硬組織の形成に関わる分子レベルでの調節機構の解析に取り組んでいる。今年度は、特に前年度までに確立した骨格筋における炎症性の異所性石灰化について詳細な解析を行った。本病態モデルでは、マウス後肢の骨格筋にヘビ毒を注射し、炎症による菌再生を促すと同時に異所性石灰化を誘発した。誘導された石灰化物は、アリザリンレッドS染色とフォンコッサ染色に陽性像を呈した。骨格筋組織内に形成された石灰化物の物理化学的性状を解析したところ、骨組織などと同様に、リンとカルシウムからなるアパタイト結晶であることが明らかとなった。しかし、組織学的な解析から、石灰化物の周囲に骨芽細胞細胞様の骨形成細胞や破骨細胞細胞様の骨吸収細胞は認められなかった。以上の結果より、本病態モデルで形成される石灰化物は、骨形成細胞によって作られる骨組織ではなく、骨格筋組織の中に析出したアパタイトと考えられた。BMPを含むTGF-betaファミリーのシグナルに必須の転写共役因子であるSmad4 cKOマウスの骨格を解析し、著しく骨形成が亢進することを見いだした。この骨形成の亢進は古典的Wntの細胞内シグナルの亢進によるものと考えられた。さまざまなWntシグナル関連分子の中で、Wnt7bの発現がSmad4 cKOマウスで増加していることが明らかとなった。従って、Smad4を介したTGF-betaファミリーのシグナルはWnt7b発現の抑制シグナルであり、Smad4 cKOでは抑制が解除されることでWnt7bの発現が増加し、骨形成が亢進したと考えられた。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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