研究課題/領域番号 |
17H04319
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
廣田 和美 弘前大学, 医学研究科, 教授 (20238413)
|
研究分担者 |
櫛方 哲也 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (80250603)
二階堂 義和 弘前大学, 医学研究科, 助教 (50613478)
橋場 英二 弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (10374844)
斎藤 淳一 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (90647413)
上野 伸哉 弘前大学, 医学研究科, 教授 (00312158)
村上 学 弘前大学, 医学研究科, 教授 (80302090)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 譫妄 / 認知機能 / 手術侵襲 / 敗血症 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
1. 敗血症での体重並びに脳内各部位LCN2 の推移:ラットにリポポリサッカライド(LPS) 1mg/kg の毎日2 週間腹腔内投与により、体重は最初209.6+/-4.9gだったものが投与3日目に193.8+/-5.2gまで減少したが、その後は1日約10gずつ増加し投与14日目には306.8+/-8.2gまで増加した。一方、認知機能に大きくかかわる海馬のLCN2濃度(pg/mg tissue)は、投与0、2、5、7、14日で各々12.4+/-1.2、568.3+/-130.3、157.0+/-108.8、47.9+/-20.6、31.0+/-14.6と体重低下増加と逆の変化を示した。 2. 年齢における新奇物体認知行動と脳内リポカリン2(LCN2)濃度:海馬のLCN2濃度(pg/mg tissue)は、若年(n=4)、中年(1年、n=11)、高齢ラット(2年、n=1)で各々11.0+/-1.0、18.4+/-10.1、65.6であった。橋、視床下部、大脳皮質のLCN2濃度も同様の変化を見せた。また新奇物体に対する反応速度(秒)は若年で36.1+/-19.1、中年で56.7+/-85.8、高齢で300であった。海馬LCN2濃度と反応速度との間には有意な相関(p<0.05、r=0.554)があり、LCN2濃度が高値程、新奇物体への反応時間が長く、認知機能低下が疑われた。 3. ICU入室患者における血中LCN2濃度と重症度(APATCH2)との関係:ICU入室患者の内、敗血症(SP、n=26)と非敗血症(NSP、n=31)患者で比較した。各群の血中LCN2濃度(ng/ml)とAPTCH2スコアは、SP群で各々709+/-680、21.2+/-6.6、NSP群で82.5+/-47.8、15.9+/-3.3と、NSP群でSP群に比べ有意に軽症かつLCN2濃度は低かった。また、LCN2濃度とAPATCH2スコアとは有意な相関関係を認めた(r=0.453、P= 0.0004)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物舎で小動物の感染症が発生し、搬入その他が規制され、研究にやや遅れが出たが、他の部分で予定より進んでいるところもあり、おおむね順調に進展していると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
動物舎の問題が解決されたことで、今後は予定通り進められると考えられる。尚、同様の問題が生じた場合、ラットでは、若年期から飼育する必要があるため、感染症が動物舎内で発生し、感染した場合はすべて殺処分になるため、2年間が無駄になるが、マウスでは1年飼育の高齢マウスモデル用マウスが購入できるため、時間のロスが減るため、ラットからマウスへの変更も考慮する。
|