研究課題
オピオイド性鎮痛薬は有用であるが、副作用に注意が必要である。米国ではオピオイド過量服薬による呼吸抑制死が年間4万人を超えている。しかもこのような副作用の出現は患者毎に大きく異なる。一方、近年のゲノム科学の進歩は著しく、研究代表者らは、いくつもの鎮痛薬感受性関連遺伝子多型を見出し、テーラーメイド疼痛治療を開始している。そこで本研究では、副作用脆弱性関連遺伝子多型を見出すことを目的とした。がん研有明病院において研究に同意し全身麻酔手術を受けた成人患者2020例に関して、研究協力者(森野、横田)がオピオイド鎮痛薬副作用などの臨床データおよび属性データを確認・固定した。また、これらの患者に関して、主に研究協力者(森野、横田)が4 mlの末梢血を採血し、研究代表者(池田)からの業務委託によりLSIメディエンス社においてゲノムDNAを精製した。上記DNA検体のうち805症例分に関して、主に研究分担者(西澤)と研究協力者(長谷川)がイルミナ社のHumanOmniExpressExome v1.2 DNA Analysis BeadChipのキットを用いて全ゲノムジェノタイピングを行い、一塩基多型を中心とする90万以上のマーカー遺伝子多型の遺伝子型を判定した。主に研究分担者(西澤)が805症例に関してゲノムワイド関連解析を行った。ゲノムワイドレベルに有意な関連は見出されなかったが、PAR2遺伝子多型など強い関連を示す遺伝子多型が見出された。これらの多型について、鎮痛薬感受性や疼痛感受性等に関するゲノムワイド多型判定データベース(2000症例)で検索したところ、PAR2遺伝子多型が慢性痛とも関連することが見出された。本研究の成果は、疼痛および鎮痛薬感受性の遺伝子メカニズムの解明に繋がるとともに、テーラーメイド疼痛治療の改良、適応拡大に貢献するものである。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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