研究課題/領域番号 |
17H04326
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
横山 修 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (90242552)
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研究分担者 |
伊藤 秀明 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (00345620)
小林 基弘 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (00362137)
青木 芳隆 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (30273006)
松田 陽介 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (90345687)
山内 寛喜 福井大学, 学術研究院医学系部門, (附属病院部)助教 (40464086)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 夜間頻尿 / 夜間多尿 / アクアポリン分子 / 膀胱知覚神経 / ラット / 膀胱 |
研究実績の概要 |
夜間頻尿は高齢者QOLを大きく損なう下部尿路症状であり、特にその原因として大きな比重を占める夜間多尿は難治とされている。膀胱に溜まった尿が膀胱粘膜から再吸収されるという報告があるが、これを裏付ける基礎的客観的データはない。膀胱アクアポリン分子にターゲットを当てて再吸収の可能性を検討した。方法としては、ウレタン麻酔下ラット膀胱を露出、両側尿管を結紮した後、経尿道的にカテーテルを留置する。生食を注入し、一定圧(20または30 cmH2O)に達してから1時間経過させ、その後膀胱内生食を回収して量を測定した。抗コリン薬imidafenacin投与して膀胱から再吸収は亢進するか検討する。低浸透圧、低pH環境下で水吸収は亢進するのか検討する。この研究により、夜間多尿の治療戦略を考える上で有効な研究と考えられ、再吸収を促進する薬剤を模索していく。また、抗コリン薬による抗利尿効果は膀胱 C 線維を抑制することでその効果を発揮する。逆にC 線維刺激は利尿になると考えられる。C線維上に発現している Vanilloid receptor TRPV1 (transient receptor potential vanilloid-type channel)は、体液浸透圧の上昇をより良く感知す る性質を持つ。また、アクアポリン(水チャンネル)を阻害して、浸透圧変化による細胞容積 の変化を抑えると、その応答が減弱したことから、TRPV1 は浸透圧の変動に伴う細胞膜の張 力の変化を感知して開口している可能性が示唆されている(PLoS One.2011 6:e22246)。 TRPV1 の特異的リガンドである capsacin や resiniferatoxin にて TRPV1 刺激を行い、膀胱内での水の移動を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラット膀胱上皮からの水吸収実験を開始した。Preliminaryな結果ではあるが、確かに膀胱内に注入した生理食塩水は上皮を介して吸収されることが確認された。すなわち、膀胱内圧依存性に水の吸収が生じることを確認した。また高浸透圧より低浸透圧の方が吸収率が高いこと、すなわち0.3%生理食塩水の方が0.9%より吸収量が多く、この吸収は抗コリン薬であるイミダフェナシンにより増強されること、膀胱知覚神経であるC線維の神経毒であるレジニフェラトキシンの投与により再吸収が阻害されることを確認した。以上の結果は、これまでに当施設が報告した利尿ラットにおける研究結果と一致する結果であり、膀胱吸収が実際に生じている可能性が示唆される。
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今後の研究の推進方策 |
C線維上に発現している Vanilloid receptor TRPV1 (transient receptor potential vanilloid-type channel)は、体液浸透圧の上昇をより良く感知す る性質を持つ。また、アクアポリン(水チャンネル)を阻害して、浸透圧変化による細胞容積 の変化を抑えると、その応答が減弱したことから、TRPV1 は浸透圧の変動に伴う細胞膜の張 力の変化を感知して開口している可能性が示唆されている(PLoS One.2011 6:e22246)。 TRPV1 の特異的リガンドである capsacin や resiniferatoxin にて TRPV1 刺激を行い、膀胱内での水の移動を解析する。
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