研究課題/領域番号 |
17H04332
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
榎田 英樹 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (80347103)
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研究分担者 |
中川 昌之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (90164144)
吉野 裕史 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (90642611)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マイクロRNA / 膀胱癌 |
研究実績の概要 |
次世代シークエンサーによるmiRNA発現解析を行い、膀胱癌で有意に発現が低下していた60個のmiRNAの中でリストの上位のものから解析を行ってきた。その結果、膀胱癌臨床検体において、miR-223の発現が正常組織より膀胱癌組織で有意に低下していた。機能解析では、miR-223によって膀胱癌細胞株の増殖・遊走・浸潤能が抑制され、アポトーシスが誘導された。in silico解析にてmiR-223のputative target geneとしてWDR62を選出し、luciferase reporter assayによってmiR-223によって直接的に制御されていることを確認した。si-WDR62を用いた機能解析では、WDR62のknockdownが膀胱癌細胞株の増殖・遊走・浸潤能が抑制され、アポトーシスが誘導された。TCGAデータベースを用いた解析では、miR-223の低発現とLymphovascular invasionやDistant metastasisとの関係や、WDR62の高発現とPathological subtype、Tumor grade、Distant metastasis、Stageとの関係が示唆された。さらにthe cancer genome atlas (TCGA) の膀胱癌コホートでは、HRASの発現が癌検体では正常検体と比べて有意に高く、 HRASの突然変異を有する膀胱癌検体では突然変異のない膀胱癌検体と比べてその発現が有意に高かった。Salirasibおよびsi-HRASの形質導入は、HRAS突然変異の有無にかかわらず、膀胱癌細胞において細胞増殖、遊走および浸潤能を阻害した。プロテオーム解析では、salirasib処理した群において、酸化的リン酸化反応などの代謝経路が有意に抑制されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文発表も行い、順調である。
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今後の研究の推進方策 |
さらに、多方面からのアプローチを行って、ゲノム創薬に繋がる研究を実践する。単独の癌促進型マイクロRNAのノックアウトにより、十分な癌抑制効果が認められない事が予想される。その場合、複数の癌促進型マイクロRNAをノックアウトすることにより、より強い抗腫瘍効果が得られるかを検討する。分子経路を促進/遮断する既存治療薬の効果確認実験において、もしターゲット遺伝子を阻害する適当な既存薬がない場合には、ドラッグリポジショニングにより既存薬でそのシグナルを遮断することも検討する。また阻害薬により顕著な抗腫瘍効果が得られない場合には、Gemcitabine + Cisplatinによる化学療法や放射線治療との併用効果も検討する。
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