研究課題
miRNA 223は これまでがん抑制型マイクロRNAのみならずがん促進型マイクロRNAとしても報告されてきた。それ故にmiR 223の機能については今日までよくわかっていない。我々の臨床膀胱がん検体におけるディープシーケンス解析では、miR 223は膀胱癌においてはがん抑制型マイクロRNAとして働く可能性があることが示唆された。miR 223の発現レベルは臨床膀胱がん検体において著明に低下していた。The Cancer Genome Atlas (TCGA) データベースにおける解析ではmiR 223の発現量はリンパ節転移や遠隔転移と逆相関していた。膀胱がん細胞株においてmiR 223の発現導入は腫瘍増殖を抑制してcaspase 3/7を介したアポトーシスを誘導した。神経組織の増殖に関与するWD repeat domain 62 (WDR62)はmiR 223の標的遺伝子の候補と考えられたが、ルシフェラーゼアッセイにてmiR 223と直接結合することが証明された。またThe TCGAデータベースではWDR62発現は腫瘍異型度や臨床ステージと相関していることが判明した。WDR62をノックダウンすると腫瘍増殖を抑制してアポトーシスを誘導した。 一連の研究によりWDR62は膀胱がんにおいてがん遺伝子的な作用を有し、膀胱がん治療の新しい標的遺伝子となる可能性が示唆された。
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International Journal of Oncology
巻: 54 ページ: 2222-2236
10.3892/ijo.2019.4762.
http://www.kufm.kagoshima-u.ac.jp/~urology/