研究実績の概要 |
生殖補助医療(ART)出生児では、先天性インプリンティング異常症や精神発達障害の発症頻度が高いことが指摘されている。しかし、原因ART操作によるものか、年齢や生活環境などの患者背景によるものか明らかではない。本研究では、様々なART操作により出生した児について、出生状況と出生後の身体的発育・発達に加え、認知行動面をも考慮した徹底的な観察研究を行った。また、生体試料(胎盤、血液)のエピゲノム解析を実施し、科学的根拠に裏付けされた安全性とリスクについて検討した。初年度は、1. 研究計画の確定、研究体制の整備 2. 東北大学倫理委員会に申請、承認(番号:2017-1-201) 3. ART出生児の分類、データ解析を開始:エコチル全国調査(全固定データ104,102人の出生児)を活用し、ART群(顕微授精、体外受精)(BT(胚盤胞)群2,081人、ET(分割胚)群752人)、非ART群(人工授精)(3,716人)、自然妊娠群(92,281人)のデータを抽出した。まず、BTと性比の関係及びBTとMZTの頻度について、交絡要因について補正し、多変量解析により正確に評価した。その結果、BTにより出産した児は、性比に偏りがみられ、男児が多い傾向がみられた(OR: 1.10, 95% CI: 1.01-1.20)。また、一卵性双胎の頻度も高いことが判明した(OR: 4.12, 95% CI: 2.57-6.59)。これらの成果は、現在論文投稿中である。
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