研究課題/領域番号 |
17H04340
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
三上 幹男 東海大学, 医学部, 教授 (30190606)
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研究分担者 |
信田 政子 東海大学, 医学部, 講師 (10338717)
池田 仁惠 東海大学, 医学部, 講師 (20365993)
柴田 健雄 東海大学, 健康学部, 講師 (30366033)
宮澤 昌樹 東海大学, 医学部, 客員講師 (30624572)
平澤 猛 東海大学, 医学部, 講師 (70307289)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 卵巣癌 / 血清バイオマーカー / 糖ペプチド / 質量分析 / 人工知能 / 深層学習 / リキッドバイオプシー |
研究実績の概要 |
卵巣癌例39例、婦人科良性疾患例45例の血清の網羅的血清糖ペプチドスペクトラ解析にて得た糖ペプチドピークを用いてOPLS-DA (Orthogonal partial least squares Discriminant Analysis )法及びHeat MAP分析を行い、有効に両群を分離することが可能であった結果について論文投稿を行い、現在Revised Version査読中である。 2018年度はさらに進めて、同様の分析をTraining set (I期卵巣癌59例X非癌166例)、Test set (I期卵巣癌29例X非卵巣癌82例)、合計I期卵巣癌88例X非癌248例を用いて、OPLS-DA法にて両群を判別することを試みた。結果、本方法によって血清のみを用いて非癌患者と初期卵巣癌患者を分離することが可能であった。またこの結果は現在卵巣癌マーカーとして汎用されているCA125とHE4よりも高いAUCを示し非癌患者と初期卵巣癌患者を有意に分離することが可能であった。 同様に両群の糖ペプチドピークを2次元バーコードのように画像化してDeep learning(Mathworks 社MATLAB)にて分離を試みたところ、Training setでは100%、Test setでは93%、のAUCで分離が可能であった。 我々が用いている網羅的血清糖ペプチドスペクトラ解析にて得た糖ペプチドピークA2160(Gynecol Oncol. 2015 Dec;139(3):520-8. 有意に初期卵巣明細胞癌と子宮内膜症性嚢胞を分離する)に関して抗体作成を同時に進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はすでに方法論はほぼ確立していることから、その診断精度を上げるために多くの患者血液(卵巣癌、子宮内膜症性嚢胞、良性卵巣腫瘍、健常人)を必要とする。そこで本年度は日本中の血液バイオバンクより血清の収集を行う。
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今後の研究の推進方策 |
卵巣癌は、前癌病変が分かっているタイプI型と de novo発生のタイプII型があり、健常人、前癌病変患者、卵巣癌各タイプ型・各進行期(I-II期XIII-IV期)患者の血液の組み合わせを変えることで、それぞれのカテゴリを選別する判別法としての確率(新たな腫瘍マーカーの概念:単一分子のマーカー値でない)が計算される(例、子宮内膜症性嚢胞の経過観察に有用な子宮内膜症性嚢胞例X卵巣明細胞腺癌I-II期例の組み合わせ、卵巣癌検診に生かすための卵巣癌I-II期X健常人の組み合わせ、など)。多数例を用いた検討で、各組み合わせの判別のためのAUSが99%を超えるようになるまでの診断システムの向上を目標に症例数の追加、分析、検討を重ね、そこが可能になることを確認の上、全国規模の臨床試験に進みたい。あるいは海外機関との共同研究に持ち込みたい。
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