研究課題/領域番号 |
17H04341
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
早川 智 日本大学, 医学部, 教授 (30238084)
|
研究分担者 |
相澤 志保子 日本大学, 医学部, 准教授 (30513858)
川名 敬 日本大学, 医学部, 教授 (60311627)
森岡 一朗 日本大学, 医学部, 教授 (80437467)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 母子感染 / 絨毛細胞 / 子宮内細菌叢 / ジカ熱 / 新型コロナウイルス / TGF-β / 慢性炎症 |
研究実績の概要 |
まず、妊娠中にジカ熱に感染した症例の胎盤のパラフィン切片を免疫組織化学的に解析した。その結果、一部の症例でsyncytial trophoblastにZKV抗原が染色される症例があった。今回我々が検討した症例では母子感染を起こした例はなかったが、疫学的に歯周病を伴う貧困層で母子感染が多いという結果があるので、複数の培養絨毛がん細胞株に歯周病細菌(P.gingivalis)の存在下に、フリーのジカウイルスをMOI =1-5の条件でチャレンジしたが、感染は成立しなかった。そこで、不死化絨毛株HTR8,フォルスコリンで分化誘導したBeWo細胞を用い、炎症性サイトカインの存在下でウイルス感染を試みたが、感染率は1%以下であり、胎盤関門の存在が示唆された。次に、その本態を明らかにするためにZKVを感染させたVero細胞と細胞融合による複製を検討したが、やはり複製は見られなかった。 我々は先に、風疹ウイルスがERストレスの存在下に絨毛細胞に感染する系を確立したので、ZKVにおいても血清飢餓状態、低グルコース状態と高グルコース状態で検討したが、風疹とは異なり、感受性亢進は見られなかった。興味深いことに絨毛細胞のウイルス複製は低く、培養上清への放出も制限されていたが、TGF-βで強い感染性増強がみられたが、その機序としてTyro3およびAXL(ZIKVの受容体)の発現の増強が明らかになった。他の炎症性サイトカインの影響は見られなかった。歯周病や絨毛羊膜炎などの病態では絨毛構造の破壊による高感受性のHofbauer細胞や血管内皮細胞が曝露に加えて絨毛自体の感受性増強が垂直感染のリスクを高める要因と推定された。現在問題となっている新型コロナウイルス感染症でも慢性炎症が垂直感染のリスクと考えられるためその制御が今後の課題である。
|
現在までの達成度 (段落) |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|
今後の研究の推進方策 |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
|