現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)卵巣組織輸送に関する研究:2017年中村らの報告(Nakamura et al; RBM Online,2017)によれば、卵巣組織凍結緩慢凍結法と超急速冷凍法による遺残耐凍剤の比較検証にて、超急速冷凍法では凍結卵巣を融解した直後においては緩慢凍結法と比較して耐凍剤が多く残存していると報告した。我々は卵巣組織凍結において超急速冷凍法の開発を進めてきたことから、卵巣輸送実験に先立ち卵巣組織凍結における緩慢凍結法および超急速冷凍法の耐凍剤の遺残に関わる安全性の検証を平成30年度に実施した。実験はウシ卵巣を用い緩慢凍結法、超急速冷凍法にて凍結保存し、耐凍剤としてDMSO、プロパンダイオール、エチレングリコールを使用した。融解後培養時間に比例し、組織内の耐凍剤が単純拡散によって希釈されることを確認した。 卵巣組織輸送デバイスの開発においては、我々のマウス を用いた先行実験(Kamoshita et al: Human Reproduction,2015)の対象をウシ卵巣に変更し再現実験を実施した。卵巣組織輸送デバイスにおいて、温度変化における卵巣組織の影響を組織学的に確認した。今後他の免疫組織科学染色法での評価並びに、卵巣恒常性を維持するための条件検討を予定している。 2)ガラス化凍結法を用いた精巣組織凍結法の開発:平成30年は先行研究結果を参考に、凍結・融解精巣組織の低い移植後組織生着率の改善を目指す研究を進めてきた。まず既知の耐凍剤(Hashimoto, Suzuki et al : RBM online,2010)で精巣組織凍結を実施した。その結果、耐凍剤の種類や濃度調整の必要があること、また精巣移植部位の生着率改善に関して至適な移植部位の再検討の必要性が明らかとなった。
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