研究課題/領域番号 |
17H04344
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
藤枝 重治 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (30238539)
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研究分担者 |
加藤 幸宣 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (00748981)
野口 恵美子 筑波大学, 医学医療系, 教授 (40344882)
高林 哲司 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (70397272)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アレルギー性鼻炎 / 短鎖脂肪酸 / CST-1 / シャルコットライデン結晶 |
研究実績の概要 |
アレルギー性鼻炎患者の鼻粘膜に、シャルコットライデン結晶が認められるが、この結晶はgelatin10からなり、好酸球のETosisによって形成されることが判明した。 スギ花粉症患者群、スギ花粉感作陽性だが花粉症症状なしの群、スギ花粉未感作群の鼻粘膜に関する網羅的解析によって得られたCST-1についてスギ花粉症発症機序への役割を詳細に調べた。CST-1は蛋白分解酵素阻害作用を持ち、スギ花粉の蛋白分解酵素効果を減弱させた。しかしブタクサ花粉の蛋白分解酵素活性には影響を及ぼさなかった。スギ花粉症マウスモデルにおいて、リコンビナントCST-1を投与するとアレルギー症状が減弱した。しかしブタクサ花粉症マウスモデルでは、アレルギー症状の減弱は認められなかった。CST-1を条件的に発現させるマウスにおいて、アレルギーマウスモデルを作成すると、コントロールに比べ鼻粘膜のバリア機能が強化され、アレルギー反応が減弱した。このことはCST-1が新規のアレルギー性鼻炎治療ターゲットをなりうることを示した。CST-1発現は鼻腔内の特定の細菌の存在と関連していた。 アレルギー性鼻炎患者50名の鼻腔及び口腔内の細菌叢を調べるためにサンプルを回収した。現在次世代シークエンサーにて解析中であり、別途採取した慢性副鼻腔炎患者との細菌叢の違いを検討中である。 短鎖脂肪酸はin vitroにおけるdsRNA刺激による好酸球遊走因子産生を抑制することが判明した。これは鼻粘膜上皮細胞のG-protein-coupled receptor (GPR)41とGPR43を介して起っていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
シラカンバ花粉症モデルを利用して各種濃度の短鎖脂肪酸水(プロピオン酸水、酪酸水)を作成し、Day -28とDay0から経鼻投与する。短鎖脂肪酸は水溶性である。対照としては溶媒のみを投与する。Day17に、くしゃみ回数を10分間カウントする。血液を採取するとともに鼻粘膜を回収し、血清中IgE、好酸球浸潤を調べる。頸部リンパ節からB細胞をMACSで回収しIgEとIgG1のクラススイッチに関係するgermline transcriptとmature transcript、Activation-induced cytidine deaminase(AID)をreal time-PCRで比較検討する。頸部リンパ節、脾臓を採取し、CD4陽性T細胞をMACSで精製し、in vitroでブタクサ抗原による再刺激を行い、IL-4、IL-5、IL-13、IFNgammaをELISAで評価する。Foxp3陽性細胞の誘導をflow cytometryで調べる。
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