研究課題
基盤研究(B)
本研究では遺伝性難聴に対するiPS細胞やゲノム編集技術を用いた蝸牛ギャップ結合の修復と内耳細胞治療を行い、これまで皆無であった遺伝性難聴の根本的治療法の開発を行った。日本人に典型的なGJB2変異を持つ遺伝性難聴患者からのiPS細胞の樹立と分化誘導を行い疾患モデル細胞が得られた。さらにGJB2-V37I変異を持つゲノム編集マウスの開発、同疾患のための改変型アデノ随伴ウィルスベクターの開発を行い、GJB2変異型難聴の根本的治療法開発への応用が期待できる。
細胞生物学
本課題はこれまでの当グループの研究成果をさらに発展させ、新たな疾患モデル細胞、疾患モデル動物、遺伝子治療ベクター等を開発することにより、根本的治療の存在しなかった遺伝性難聴への遺伝子治療と細胞治療が応用可能であることを示す結果が得られた。ギャップ結合の障害は加齢性難聴の進行に関与することが我々の論文で示されたが、加齢性難聴は認知症のリスクファクターとして最も重要な疾患であることが近年明らかとなり、本課題の成果が認知症分野へも貢献する社会的意義の高い治療法開発であると考えられる。