研究課題
本邦では高齢化社会を目前とし老化研究は重要課題である。中でも眼疾患は緑内障や白内障、加齢黄斑変性症、やドライアイなど、何れも年齢依存的に有病率が増加する疾患が多くを占める。しかし、加齢に伴う視機能の低下に関して共通する因子を標的として眼疾患の予防を行うような包括的なアプローチの試みに挑むべく、本研究では長寿遺伝子Sirtuinを標的として新しい眼疾患の予防法を構築することを目的として研究を行った。最終年度では、第一にSirtuinの脱アセチル化に基質そして必要なNAD+の中間前駆体であるβ-Nicotinamide mononucleotide (NMN) の投与における安全性を慶應義塾大学病院における臨床試験によって実証した。第二に緑内障患者由来の検体において、これらの代謝関連因子を解析したところ病態との因果関係を見出した。また、げっ歯類を用いた網膜急性障害モデルにおいてこれらの中間代謝産物の投与が網膜保護に寄与する可能性を見出した。第三に角膜内皮の早老化症ともいわれるFuchs角膜内皮変性症の患者由来の検体を解析した結果、新たにNAD代謝のdysfunctionが起きていることを見出しNMN投与によってredoxバランスの改善に寄与することを見出した。これらの結果はNAD関連代謝産物の補完によるSirtuinの活性化というアプローチが眼疾患の予防の一助になりうる可能性を示唆している。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (29件) (うち国際学会 9件、 招待講演 20件)
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