研究課題
C3H系マウスにほぼ100%肺転移を起こす骨肉腫LM8細胞株を移植する進行期小児・若年性がんモデルを確立し、このモデルで免疫チェックポイント阻害(PD-L1抗体 、Tim-3抗体)およびT細胞賦活剤であるOX-40抗体による免疫系賦活を同時に行う新規免疫療法プロトコールの効果を検証する実験系を開発した。これまでにこの免疫賦活併用の免疫チェックポイント蛋白阻害プロトコールにより、転移巣に対する著明な腫瘍縮小効果と生存率の向上が得られること、さらに原発巣切除により免疫療法単独もしくは原発巣切除のみの場合よりも有意に高い生存率が得られることが示された。今年度はこのプロトコールの有用性と腫瘍量の関係を明確にするために、新たに神経芽腫モデルを使用して移植腫瘍細胞量を1×104~1×107個まで変化させ、生存率を評価した。この結果、移植細胞数を1×105個とすると免疫療法群(LTG)は免疫治療非施行群(LCG)より有意に生存率が高いことが明らかにされた。移植細胞数が1×106個群と1×107個群では免疫療法の有無により生存率に有意差はなかったが、1×107群でも免疫医療法施行群にのみ生存例が見られた。これらの結果は、腫瘍残存量を基盤に小児がん集学的治療の組み立てを根幹から見直させる大きな意義をもつものと考えられた。一方、研究者関連の複数の小児医療施設における倫理審査承認を受け、臨床標本の収集、病理学的解析を継続したが、昨年度の27検体の解析結果以降、新たな知見は得られていない。今後、免疫細胞浸潤や免疫チェックポイント蛋白、腫瘍幹細胞関連抗原の発現と臨床的特性の相関についてさらにヒト臨床検体を継続的に集積し、分析してゆく。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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