研究実績の概要 |
2020年度末までに健常成人対照10症例と患者45症例となり解析を実施した。 その結果以下を確認する事ができた。 1)心停止蘇生に伴いdamage-associated molecular patterns (DAMPs)の代表であるヒストンH3が3時間後高値となり約24時間高値が持続する、2)多臓器不全(multiple organ dysfunction syndrome, MOD)をsequential organ failure assessment (SOFA)スコア>=12と定義し多臓器不全合併の有無で検討を加えると、MODS群のヒストン値は蘇生後0および3時間において非MODS群よりも有意に高値を呈した(0h; 2.25 vs 5.60, p=0.036: 3h; 3.6 vs 12.6, p=0.044)MODS群の播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation, DIC)スコア値は非MODS群と比較して有意に高値である(1 vs 4, p=0.012)、4)MODS群の病院死亡率は非MODS群よりも有意に高い (16 vs 33%, p=0.0132)(値は median)。 すでに心停止蘇生に伴う、1)大量のトロンビン産生に引き続くプラスミン産生、3)プラスミン産生は傷害血管内皮細胞から遊離したtissue-type plasminogen activator (t-PA)が原因と考えられる、4)t-PAの速やかな上昇後に線溶抑制因子であるplasminogen activator inhibitor-1 (PAI-1)が上昇する、事を確認している。 以上から、心停止蘇生に伴いDICが起こり、その原因として虚血/再灌流に伴う傷害細胞・組織から遊離したDAMPs(ヒストン)が想定される。
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