研究課題
咀嚼運動に対するセロトニン神経系の役割を明らかにするため、チャネルロドプシン2(ChR2)をセロトニン神経特異的に発現させたTph2-ChR2トランスジェニック(TG)マウスを作製し、背側縫線核に存在するセロトニン神経の刺激による、咀嚼運動時の咀嚼筋活動パターンの変化を解析した。24時間の絶食後、0.2 gの固形飼料を与え、咀嚼開始時から1 mWの強度で1秒間の光照射を1分間隔で行った。その結果、1回目の光照射から1分間は8 Hz前後の咀嚼リズムを観察し、光照射を行わないcontrol群と比較し、咀嚼時の咬筋活動のリズムは有意に早くなった。2回目以降の光照射では咀嚼リズムは5 Hz前後となり、control群と比較し有意差はなかった。以上の結果からセロトニンは咀嚼運動を促進する可能性が示唆された。開口筋や舌筋のプレモーターニューロンの存在部位と特性を調べるために、除脳ラット動脈灌流標本を用いて脳幹網様体の電気刺激を行い、顎舌骨筋神経および舌下神経に短潜時応答が誘発される部位を検索した。電気刺激をした脳幹内203部位のうち、195部位(96.1%)で顎舌骨筋神経に、151部位(74.4%)で舌下神経に神経応答が認められた。舌下神経の神経応答の平均潜時は、顎舌骨筋神経よりも有意に長かった。また、顎舌骨筋神経と舌下神経の潜時ヒストグラムでは、顎舌骨筋神経は単峰性を示したのに対し、舌下神経は二峰性を示した。顎舌骨筋神経の短潜時応答誘発部位の割合は、脳幹網様体の尾側領域よりも吻側1/4領域で高かった。一方、舌下神経の短潜時応答誘発部位の割合は脳幹網様体の尾側領域で高かった。以上の結果から、顎舌骨筋神経および舌下神経の短潜時応答誘発部位の分布の違いは、顎舌骨筋神経および舌下神経運動ニューロンを標的とするプレモーターニューロンの分布の違いを反映していると考えられる。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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