研究課題
本研究では、免疫系の修飾と放射線の併用により、腫瘍微小環境下で腫瘍細胞動態が大きく変動する結果、分割照射中の放射線感受性が影響を受けるとの仮説を立て、研究を進めてきた。C3Hマウスに自然発生し、口腔がんの免疫モデルとしても用いられるSCCVII細胞株を用いて実験を行なった。3種混合麻酔を用いると、血圧の低下から、腫瘍に低酸素状態を引き起こす可能性があることがわかり、そこで、麻酔をしないで照射を行う系を樹立した。前年度は、免疫チェックポイント阻害剤である抗CTLA4抗体を併用した実験を実施した。その結果、腫瘍増殖能において照射単独の場合と差を認め、低酸素分画の変化の程度においても低下する傾向を認めた。このことは、免疫チェックポイント阻害剤とじ放射線との併用において、低酸素分画の低下が放射線増感に寄与している可能性が示された。また、併用によって、CD8陽性のリンパ球が増える傾向にあった。昨年、Gemininのユビキチン化制御部位をCreERT2に組み込み、そのプラスミドをloxPを組み込んだSAS細胞に発現させた細胞の細胞周期依存性を調べたところ、S/G2期依存的な蛍光の発現を確認できなかった。そこで、Gemininのユビキチン化制御部位を外したプラスミドを導入し、タモキシフェン濃度依存的に組み換えを起こす系を作製した。タモキシフェン投与後、血管周囲にある増殖の盛んな部分の腫瘍細胞が赤色に変化し、それ以外の細胞は緑色を呈した。照射後、再増殖した腫瘍内での赤色と緑色の比率を調べると、赤色の方が多いことがわかった。すなわち、増殖細胞の方が多く残存していた可能性がある。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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