研究課題
1) 平成29年度の初回受診者は14名、2回目受診者は158名であり、これまでの合計として、ベースラインデータ2328名、再評価データ1286名となった。上記のうち787名について、ストレスの有無、唾液中のストレスマーカーであるIL6の濃度、口腔健康状態の関係について分析したところ、ストレスを感じている者は唾液中IL6濃度が高値であり、咀嚼能率低値群にのIL6濃度が高いことが明らかとなったことから、咀嚼能率の低下と慢性ストレスとの関連性が示唆された。2) 上記のうち現在歯数20以上の1425 名について、咀嚼能率低値に関連する因子を分析したところ、機能歯数と臼歯部咬合支持の減少,最大咬合力の低下が咀嚼能率低下のリスクとなること、また咀嚼能率の低下に伴ってグミゼリーの噛みづらさが生じていることが示唆された。3) 上記のうち1068名を対象に、ベースライン時と再評価時の咀嚼能率の変化の要因について分析したところ、歯科医院を定期受診している者は低下率が低いことが明らかとなった。4) 上記のうち1780名を対象に、咀嚼能率4群におけるメタボリックシンドロームの罹患率を比較したところ、最も高い群に較べて下位から2番目の群において、有意に高いodds比(1.46)が得られたことから、咀嚼能率の低下とメタボリックシンドローム罹患との間に関連があることが示唆された。5) 上記のうち1856名を対象に、メタボリックシンドローム構成要素と歯周病との関連について分析したところ、男女ともにHDL低値と歯周病との間に有意の関連が認められた。また、メタボリックシンドローム構成要素の数が増加するにつれて、歯周病のリスクが高くなることから、両者の関連が示唆された。
3: やや遅れている
今年度の目標として、初回検診者50名、2回目検診者500名を予定していたが、いずれも予定の約1/3の数になった。理由として、マンパワーの確保が十分にできず、週当たりの検診回数が減少したことが挙げられる。また、国立循環器病研究センターにおいてデータセットを構築する作業が進まず、予定していた口腔健康と全身の健康との縦断解析が進まなかった。
ベースラインデータ数は2300名を越えたので、今後の努力によりフォローアップデータを増加すれば、縦断解析に耐えるデータベースとなり得ると思われる。また、データセットを構築する作業が進まなかった点については、次年度国立循環器病研究センターにおいてデータセット作成の人員を増やして対応する予定となっている。
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