研究課題/領域番号 |
17H04393
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
村田 比呂司 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (40229993)
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研究分担者 |
小椎尾 謙 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (20346935)
筑波 隆幸 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30264055)
稲光 宏之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (60779495)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 有床義歯補綴学 / 軟質リライン材 / ダイナミック印象 / 光重合 / 光触媒 |
研究実績の概要 |
本研究では国内外通じて初の試みとなる①粘膜調整・ダイナミック印象と長期軟質リラインを一つの材料で行えるマルチファンクション機能、②フッ素系モノマーとアセチルクエン酸トリブチルによる高耐久性化機能、③酸化チタン-ゼオライト ナノ複合体による自己クリーニング機能、④bFGF徐放化ハイドロゲル(生体活性物質)による粘膜創傷治癒促進機能(ドラッグデリバリーシステム)を有する新規光重合型軟質リライン材の開発と臨床応用を目指す。 平成29年度は主として、poly (ethyl methacrylate / butyl methacrylate)を粉末の主成分とし、液剤にはモノマーとしてiso-butyl methacrylate (i-BMA) 、2-ethylhexyl methacrylate (2-EHMA)を、可塑剤としてtributyl acetylcitrate (ATBC)を用いた光重合型軟質リライン材について評価した。なお液剤には光重合型とするため、還元剤としてethyl p-dimethylaminobenzoate、光増感剤としてcamphorquinoneを微量加えた。評価項目は硬化進行中および硬化後の動的粘弾性である。比較検討のため、常温重合型および加熱重合型のアクリル系軟質リライン材についても評価した。 その結果、以下の結論を得た。①モノマーの種類、粉液比、特に可塑剤含有量が各粘弾性値に大きな影響を及ぼすことが示唆された。②貯蔵弾性率および損失弾性率ともに、i-BMAよりも2-EHMAを含有する材料で、また粉液比が低く、可塑剤含有量が多いほど低い値を示す傾向であった。③モノマーと可塑剤の割合が75:25の材料で、高い損失正接の値を示す傾向であった。本年度はとくに化学組成と動的粘弾性との関係を解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
粉末の主成分がpoly (ethyl methacrylate / butyl methacrylate)、液剤のモノマーがi-BMA 、2-EHMAを、可塑剤がATBCである光重合型軟質リライン材のレオロジー的特性を明らかにしたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度では29年度の研究の進展状況を詳細に検討し、主として以下の項目について評価する予定である。 ①硬化後の動的粘弾性の継時的変化の測定(動的粘弾性自動測定器を用い、熱サイクル試験による劣化の評価を行う。この結果より、機能的効果と耐久性の高い光重合型アクリル系軟質リライン材の組成を決定する。)、②市販材料および試作材料の成分の溶出および吸水量の測定(ガスクロマトグラフ質量分析装置を使用)、③酸化チタンーゼオライトの自己クリーニング機能の測定などを行う予定である。
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