研究課題
抜歯窩創傷治癒過程に必須な間葉系幹細胞に関する従来の研究は、培養条件下での解析や、外来性移植MSCの効果の検証が主である。しかしこの現状では、生体内MSCの「内在性」の組織修復システムを理解することは難しい。申請者らは、青光照射でDNA組み換え反応をコントロールできる光活性型Cre(Photoactivatable(PA)-Cre)に着目し、このPA-Cre技術と、テトラサイクリン誘導発現系システム(TetON/OFF)のActb locusへのノックイン技術(Aida et al, Genome biology, 2015)を組み合わせることで、平成30年度は、in vivoでのlight/Dox-dependentなDNA組み換え反応を可能とする遺伝子改変マウス(TRE-PA-Creマウス)の開発を目指した。平成29年度までにin vitroにおいて実験系の確認は済んでいたため、actb locusに対するhomology armを両端に有するTRE-PACre donorベクターを利用してノックインマウスの作製を試みた。PCR等によりactb locusへの挿入を確認できた個体を選別し、同マウスにtail veinよりtTA発現プラスミドと、レポーターであるLSL-tdTomatoプラスミドを導入することで、生体外からの光照射による肝臓でのDNA組み換え反応に成功した。つまり開発したTRE-PACreマウスがWORKすることが証明できた。
2: おおむね順調に進展している
研究遂行に必須な研究ツールの開発が当初の計画通りに進んでいる。
開発したTRE-PACreマウスがWORKすることが証明できたため、本年度は、TREPACreマウスとLSL-tdTOmatoマウスと、各種細胞特異的tTAマウスを交配することで、細胞種特異的な光組み換えマウスの開発を目指し、同マウスでの光依存的細胞ラベリング手法の開発を目指す。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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