研究課題
1. ヒト多能性幹細胞の高効率骨芽細胞分化系の最適化:ゲノム解析は大量の細胞を必要とするため、初代細胞の取得が困難なヒトの器官形成過程の解析では、多能性幹細胞の分化系が広く用いられる。前年度までの検討により、低分子化合物のみを用いたdefined(無血清)かつxeno-free(異種由来のものを培養系に含まない)条件で、中胚葉分化を経由して多能性幹細胞から骨芽細胞を形成するプロトコールの大枠が決定した。そこで、本年度は中胚葉分化ステップに焦点を当てて、低分子化合物の種類と処理期間の最適化を行った。その結果、従来法と比べてより簡便な基礎培地を用い、数種類の低分子化合物の複数の組み合わせで段階的にヒトiPS細胞を処理することで、生理的な中胚葉形成過程を模倣するプロトコールを見出した。本プロトコールで培養した細胞において、中胚葉形成の各段階のマーカー遺伝子の発現を確認したところ、従来法に匹敵する発現上昇が認められた。また、発生段階の中胚葉形成を模倣した経時的な発現パターンを呈していた。本法で作成した中胚葉由来組織が骨芽細胞と軟骨細胞へ分化する能力を有することも確認した。2. ヒト・マウス骨芽細胞分化過程におけるエピゲノム動態、遺伝子発現動態の解析:マウス新生仔頭蓋骨の骨芽細胞をセルソーティングにより採取し、オープンクロマチン領域のプロファイリングとRNAシークエンスによる遺伝子発現プロファイリングを行った。
2: おおむね順調に進展している
当初計画の通り、ヒト多能性幹細胞の骨芽細胞分化系の基本プロトコールが確定し、一部エピゲノムデータの取得が開始されているため。
ヒト多能性幹細胞の骨芽細胞分化系におけるエピゲノム・遺伝子発現データの取得を推進する。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件)
PLoS Genetics
巻: 14 ページ: e1007346
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Carbohydrate Polymers
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Journal of biomedical materials research. Part B, Applied biomaterials.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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