研究課題
1. ヒト多能性幹細胞の高効率骨芽細胞分化系の最適化:平成30年度までに、ヒト多能性幹細胞から生理的な中胚葉形成過程を模倣する分化系を見出した。そこで令和元年度は本法で作成した中胚葉細胞のin vivoにおける分化能を放射線学的・組織学的に詳細に検討した。放射線学的解析から、中胚葉細胞は、マウス生体内で経時的に石灰化組織を誘導することが明らかとなった。さらに、中胚葉細胞が形成した組織において分化マーカー(I型コラーゲン、II型コラーゲン、X型コラーゲン、Sox9、Runx2、Sp7)に対する免疫染色を行ったところ、骨格組織を形成する各細胞集団(骨芽細胞前駆細胞、骨芽細胞、骨細胞、増殖軟骨細胞、肥大軟骨細胞)が形成され、それらが生体における骨組織を模倣した形で配置していることが確認できた。また、形成された組織は時間経過とともに成熟し、組織内に血管を誘導することが明らかとなった。2. ヒト骨芽細胞分化過程における遺伝子発現動態の解析:上記のヒト多能性幹細胞由来中胚葉細胞、および中胚葉細胞から形成された骨様組織の各種分化段階・組織誘導段階において、酵素処理によって細胞を単離した。細胞からmRNAを回収し、RNAシークエンス(RNA-seq)による遺伝子発現プロファイリングを行った。また、オープンクロマチン領域を検索するATAC-seqと各種エピゲノムマーカーのクロマチン免疫沈降シークエンス(ChIP-seq)を行う準備を進めた。
2: おおむね順調に進展している
当初計画のとおり、ヒト多能性幹細胞の骨分化系におけるRNA-seq解析が進行し、ChIP-seqとATAC-seqによるエピゲノムデータ解析の準備が進んでいるため。
ヒト多能性幹細胞由来中胚葉細胞から形成された骨様組織において、ChIP-seqとATAC-seqによるエピゲノム解析をすすめる。マウス骨芽細胞とヒト多能性幹細胞由来骨様組織のRNA-seqデータとATAC-seqデータの比較解析を行う。以上から、骨再生用エピゲノム編集の対象となる領域を絞り込み、動物実験における検証につなげる。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
Regen Ther
巻: 14 ページ: 19-31
10.1016/j.reth.2019.12.010
Stem Cell Reports
巻: 13 ページ: 530-544
10.1016/j.stemcr.2019.07.012
Int J Mol Sci
巻: 20 ページ: 6324
10.3390/ijms20246324
バイオマテリアル-生体材料-
巻: 37 ページ: 244-251
http://www.de.nagasaki-u.ac.jp/dokuji/kaibou-2/