研究課題/領域番号 |
17H04419
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笹野 高嗣 東北大学, 歯学研究科, 名誉教授 (10125560)
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研究分担者 |
菅原 由美子 東北大学, 大学病院, 助教 (30235866)
佐藤 しづ子 東北大学, 歯学研究科, 助教 (60225274)
庄司 憲明 東北大学, 大学病院, 講師 (70250800)
飯久保 正弘 東北大学, 歯学研究科, 講師 (80302157)
嶋田 雄介 東北大学, 大学病院, 医員 (60789163)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 客観的味覚検査法 / 味覚遺伝子発現量 / 味蕾 / PCR法 |
研究実績の概要 |
我が国では超高齢化や食生活の変化などを背景に味覚障害者が急増している。味覚障害は単なる感覚障害に留まらず、高齢者では食欲不振から体重減少、さらに体調不良に陥る場合が多い。現在、臨床で行われている味覚検査法は、①障害を受けている味覚神経を同定する検査である「電気味覚検査」:三つの異なる味覚神経支配領域毎に、電気刺激で生じる金属味を利用して、電気味覚が生じる閾値電流量を主観的に測定する。②障害されている味質を同定する「濾紙ディスク法」:五つの基本味(甘味・塩味・酸味・うま味・苦味)に対して、濃度の異なる複数の味溶液を用いて、各味質に対する感受性が生じる閾値濃度を主観的に測定する。この二つの味覚検査法で行われている。しかしながら、これらの方法は患者の主観にもとづいた測定方法であり、高齢者に多くみられる認知症では検査ができない。今後、我が国にさらに進行する超高齢化社会では、医療費圧迫につながる低栄養を予防するために、認知症患者でも測定を可能とする客観的味覚検査法は必要不可欠である。そこで、本研究では、患者の味蕾を非侵襲的に採取し、採取検体中の味覚遺伝子発現量を定量的に測定する客観的味覚検査法の開発をめざす。 当該年度は、2017年度に判明した非侵襲的に舌・擦過法で採取できる遺伝子サンプル量はごく僅かであるために、リアルタイムPCR法では、遺伝子発現量の基礎的動態を検出できない問題点を克服するために、新たに『デジタルPCR法』による測定を行うべく、『デジタルPCR法』用のうま味(T1R1/T1R3)、甘味(T1R1/T1R2)および苦味に対する特異的プローブを作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由:前年度(2017年度)に判明した、「非侵襲的に舌・擦過法で採取できる遺伝子サンプル量はごく僅かであるためにリアルタイムPCR法では味覚遺伝子発現量を測定困難」という問題を克服するために、『デジタルPCR法』に測定法を大幅に変更した。 そのため、当該年度は『デジタルPCR法』による測定を行うべく、『デジタルPCR法』用のうま味・甘味・苦味に対する特異的プローブを作製した。さらに、作製した特異的プローブを用いて、味覚遺伝子発現量の基礎的動態である日内変動および年齢別差について検討していたところ、本学メディカル・マガバンク設置の『デジタルPCR』が故障したために、研究は現在、中断している。
以上の状況を総合的に判断し、進捗状況はやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
前年度(2017年度)に判明した、「非侵襲的に舌・擦過法で採取できる遺伝子サンプル量はごく僅かであるためにリアルタイムPCR法では味覚遺伝子発現量を測定困難」という問題を克服するために、『デジタルPCR法』に変更し、新たな測定法の開発に着手していた。ところが、『デジタルPCR法』用のうま味および甘味遺伝子に対する特異的プローブを作製し、続いて、作製した特異的プローブを用いて、味覚遺伝子発現量の基礎的動態である日内変動および年齢別差について検討していたところ、本学メディカル・メガバンク設置の『デジタルPCR』が故障し、研究は中断していた。 一方、2019年1月に本学メディカル・メガバンクとは別に、本学医学系研究科共同機器室に新たに3DデジタルPCRシステムが設置された。従って、今後は本学医学系研究科共同機器室設置の『デジタルPCR』を用いて研究を推進する。
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