研究実績の概要 |
本研究の目的は、高齢者に提供される‘足ケア’の効果を、足部の状態のほか、身体面での機能性の向上といった運動力学の評価とともに、転倒予防という視点から、日常での生活活動の量および質に関する側面を加え解き明かし、構造化を目指すことである。そこで令和2~3年度では、①高齢者における測定項目の検討と、②在宅高齢者を対象とした身体機能・足部状態と活動効力感・転倒不安との関連についての縦断的検討(6か月後評価)を計画として挙げた。 《測定項目の検討》 前年度収集データをもとに、身体平衡の保持機能とくに静的姿勢ならびに立ち上がり時の重心動揺の安定性・回復性を解析した。令和2年度において平衡機能を指標する項目単独では、足部の微細な機能変化をとらえるのは難しいと判断されたため、介入に伴う変化の評価指標として、足部の循環機能に関する足部評価と皮膚状態を追加して評価していくこととなった。 《身体機能・足部状態と転倒不安の6か月以降評価》 令和3年7月末までに、1年未満の追跡完了した者として、在宅後期高齢者 8名〔男性2名(25.0%),年齢75.3±3.6歳,BMI 22.5±2.88,MMSE 28.5±2.84点,転倒歴あり2名(25.0%),独居3名(37.5%)〕の測定を行った。セルフケア実施継続者は、0名であった。身体機能として、FRT 33.2±6.28cm,10m歩行時間 7.9±2.45秒,握力(良) 20.7±6.89Kg,足趾筋力(良) 6.4±3.23Kg,1日活動量5,023±2,825歩であった。また、転倒不安では、FES-I 25.0±8.23点,身体活動SE 25.7±10.11点であった。従来の生活活動がコロナ禍において減少したと回答した者は、8名(100%)であった。 ケアの継続性ならびに高齢者の活動性の継続においては、COVID-19感染拡大による生活活動制限が少なからず影響していることが示唆された。
|