研究課題
我が国の人工股関節全置換術(THA)患者の教育の実態を把握する目的でアンケート調査を実施した。調査対象は、年間50例以上のTHAの手術実績のある295施設の整形外科の病棟・外来看護師(Ns)各1名、理学療法士(PT)1名(計855名)であった。調査内容は、THA患者への教育の実施状況・時期(①入院前、②入院中・術前、③入院中・術後、④退院後)、実施内容、患者教育に関する認識等であった。239名(有効回収率27%)の内訳は、病棟Nsが77名(32%)、外来Nsが77名(32%)、PTが85名(36%)であり、整形外科での平均経験年数は、病棟Nsが7年、外来Nsが8年、PTが11年であった。すべてのTHA患者に術前教育を実施しているとの回答は、病棟Nsが65%、外来Nsが40%、PTが 67%であった。時期別では、③入院中:術後の患者教育の割合が最も多く、次いで②入院中:術前、①入院前、④退院後の順であり、教育内容は、術前は人工関節の知識、合併症の予防、術後は創傷の管理、姿勢や動作、生活習慣が高い割合となった。患者教育の評価の実施は、病棟Nsが23%、外来Nsが10%、PTが23%であった。患者教育の「時間」が「どちらかといえばある」との回答は、病棟Ns40%、PT44%であり、外来Nsでは「十分にない」が30%と最も多かった。「時間」に対する満足度は、病棟Nsの36%、PTの40%が「どちらともいえない」、外来Nsの42%が「どちらかといえば不満足」であった。患者教育を実施する上でのバリアは、病棟・外来Nsともに人員不足が6割近くを占め、PTでは在院日数の短縮化が46%であった。患者教育の質向上に必要な要素として、3職種ともにスタッフの知識・技術力の向上が5割を超えた。以上より、術前からの早期の患者教育の必要性が認識されながらも十分に実施されていない現状が明らかとなった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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