研究課題/領域番号 |
17H04434
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
増野 園惠 兵庫県立大学, 地域ケア開発研究所, 教授 (10316052)
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研究分担者 |
渡邊 智恵 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (00285355)
酒井 明子 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (30303366)
漆坂 真弓 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (70326304)
加藤 令子 関西医科大学, 看護学部, 教授 (70404902)
山本 あい子 四天王寺大学, 教育学部, 教授 (80182608)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 災害 / 災害看護 / アウトカム指標 / 健康指標 / 生活指標 |
研究実績の概要 |
看護学分野の既存研究論文では、災害時の看護実践の効果や結果についてはほとんど示されておらず、アウトカム指標を抽出することが困難であった。平成30年度はレビュー範囲を広げ保健医療分野の研究論文から、生活健康関連アウトカムとして設定し得る指標およびアウトカムに関連する保健医療活動の抽出を試みた。結果、災害との関連で検討されている生活健康関連指標として、「死亡者数・率」の他、循環器系疾患、深部静脈血栓症、メタボリックシンドロームなどの「疾患の発生数・率」、「慢性疾患患者の状態悪化」、血圧値・BMI・HDL-Cなどの「生理学的データの変化」、疼痛などの「有症状発生数・率」、「Quality of Life」、「主観的健康度」、「日常生活動作(ADL)」、不安尺度、ストレス尺度等を用いた「心理社会的健康状態」、身体活動量・食習慣の変化などの「生活行動の変化」が抽出された。医学分野の研究では、受診・診断の際に収集されたデータが分析に用いられており、公衆衛生分野の研究では、健診データの2次分析の他、尺度や質問紙を用いた1次データの分析が実施されていた。災害の種別では、地震が最も多く約7割を占め、次いでハリケーン・台風などの暴風雨および洪水が約2割、そのほか、津波、火山噴火、火災、事故の文献が含まれていた。災害の種別による指標の差異は特定できなかった。また、研究の多くが実態調査・横断研究であり、保健医療活動との関係は検討されておらず、アウトカムに関連する保健医療活動の抽出はできなかった。 追加の文献レビューと並行し、アジアの災害看護研究者とのワークショップにおいて助言された、直近に発生した災害における看護職の活動の参与観察とヒアリングで実践的な情報を収集した。また、日本災害看護学会第21回年次大会でレビュー結果を報告し、アウトカム指標に関連する災害時の看護実践について議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の想定に反し、災害後の人々の健康と生活のアウトカムを示すエビデンスが少ないことが判明し、研究方法の再検討し、新たなデータ収集を追加する必要があった。このため約10か月の進捗遅れが発生した。加えて、国内外で災害発生が相次ぎ、国内・国外共に専門家パネルによる指標案検討の機会を設けることが難しく、さらに進捗が遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
次の課題はアウトカム項目を確定し、その測定・評価方法および評価の実行性を検討することである。すでに当初予定になかった新たなデータ収集を追加したことから、進捗は遅れている。加えて、アウトカム項目も確定および評価方法を、専門家パネルにより検討することを計画しているが、国内外で災害発生が相次ぎ、検討のための専門家の調整に時間を要している。専門家パネルに集合してもらっての検討ではなく、オンラインでの検討等、検討の持ち方を再検討すると共に英語でのコミュニケーションを容易にして研究の進捗を推進できるよう研究協力者を追加して、研究の進捗に努める。
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