研究課題
令和元年度は、これまで実施した文献レビューおよび災害時の看護活動の参与観察とヒアリングによる実践的な情報収集の結果を再分析し、災害サイクルの局面ごとに、災害リスク管理における人々の健康と生活に関連するアウトカムおよびその測定・評価のための指標の抽出を行った。その後、抽出した項目・指標についてアジアの災害看護研究者によるエキスパート・コンセンサスを得るための会議をもった。さらに、抽出された指標について、実際の災害事例での評価の可否を検討した。災害準備期のアウトカムとしては「災害リスクを軽減するための力」「災害時の体調/健康管理に関する知識」「災害への危機意識」「(個人・コミュニティ)レジリエンス」が抽出された。レジリエンスについては既存の尺度が存在するが、他についてはが測定・評価のため活用できる尺度はなかった。災害対応(急性)期では、「感染症の発生」「非感染性疾患(NCDs)の発生・増悪」「精神・心理社会的健康問題の発生」「主観的健康/生活の質(QOL)」「日常生活行動の変化」「身体認知機能の変化」「リプロダクティブヘルス」「小児の成長・発達」「生活環境の変化」がアウトカム項目として抽出された。これらの項目の評価は、災害保健医療活動を通して得られる罹患者数、対応件数、受診・診断の際に収集された検査データなどが指標として活用できるほか、被災者・被災地域を対象とした健康調査の実施において使用される不安尺度やストレス尺度、QOL尺度などを指標とすることが可能である。しかし、災害発生地域の人口構造や社会環境により必須あるいは測定可能な評価指標が異なり、普遍的な指標についての合意は得られなかった。災害復興期では、災害対応期で抽出された9項目のうち「感染症の発生」以外の8項目が抽出された。次の段階として、1)普遍的な評価指標のさらなる検討、2)評価手法の開発に取り組むことが必要である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Journal of Environmental Research and Public Health
巻: 18 ページ: 1-14
10.3390/ijerph18073382
International Journal of Environmental Research and Public Health,
巻: 16 ページ: 1-8
10.3390/ijerph16081309