研究課題/領域番号 |
17H04436
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
荒木田 美香子 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 教授 (50303558)
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研究分担者 |
松田 有子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 講師 (20745393)
古畑 恵美子 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 助教 (30783542)
安藤 瑞穂 東京医療保健大学, 医療保健学部, 助教 (40434435)
宮本 千津子 東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (50209946)
高橋 時市郎 東京電機大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50366390)
高橋 佐和子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教 (80584987)
山下 留理子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 講師 (90380047)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | バーチャルリアリティ / 看護学 / 教育学 / 災害 / 医療福祉 |
研究実績の概要 |
バーチャルリアリティ(VR)技術が急速に発展し、アメリカなどではVRを活用した医学・看護学教育が2005年頃より展開されてきた。しかし、日本の看護学教育においてはVRを活用した看護教育教材はまだ開発されていない。そこで、本研究は、シミュレーション教育(SIM教材)の強みを考慮し、経鼻胃チューブの挿入、腹部の触診、周手術期の看護、災害看護などにVR技術を活用した看護学SIM教材を開発することを目的とした。初年度には、主にVR技術と看護教育のコンテンツのすり合わせ(対象者と使用場面、使用する機器、開発したい内容の到達度、実写・CG・ARの活用等)、アメリカのVR教育の実際、及び経鼻胃チューブ挿入教材のα版の開発を行うことを目標としていた。 アメリカのVR教育の見学については、2018年1月にVRチーム1名と看護技術チーム3名がBoise State University及びUC DAVISへの訪問した。Boise State Universityでは通常のパソコンを活用したVR教材を看護学生向けに開発していた。しかし、皮膚感覚を再現できていないことや手順を学習するレベルでは活用できるが、カテーテルを挿入する長さや挿入する角度など細かな作業の習得を考慮しない内容であり教材としては不十分であることが明らかとなった。またUC DAVIS のKeckCAVESは高度なVRシステムであり、設備が大掛かりであるため各大学が活用できるレベルのものではないことが明らかとなった。 そこで、日本独自のVR教材を開発することとし、VRチームと看護技術チームで4回にわたり会議を行った。その結果、カテーテル挿入による技術を開発すること、特に気管内吸引技術で挿入した際の抵抗感を感じられるVRのα版の開発が間近な状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アメリカにおけるVR教材開発についてはインターネットや文献などよりかなり進展しているのではないかと予測した。実際に見学した際にも、Boise State Universityはオーストラリアの大学や国内の大学とコンソーシアムを組んでいること、また本チームも加入可能であるなどの関係性を築くことができた。しかし、現時点はBoise State UniversityのVR教育は日本の実践教育に活用するレベルとしては低いということが明らかとなった。このような、看護におけるVR教材の開発の現実が明らかとなったことが一つの成果と言える。 また、独自の教材の開発については、最初に気管内吸引技術に焦点を当てることとした。気管内吸引技術は解剖の知識、清潔操作の技術などの組み合わせで構成されている。インストラクショナルデザインの考え方で、教える技術を細分化してVR教材を開発し、それらを組み合わせて一つの教材とすること、皮膚感覚の再現についても一定の方法を活用するなどのVR教材の開発の方向性の見通しをつけ、気管内吸引のVR教材のα版を開発段階にきている。看護系大学で実験研究については3大学の協力が得られ、実験研究の研究計画を倫理審査に提出する段階となっている。
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今後の研究の推進方策 |
気管内吸引のVR教材のα版については平成30年7月をめどに開発する。それを受けて、看護系大学の2年生を対象にした教育実験研究の研究計画を倫理審査に提出し、9月~11月で実験研究の実施、さらに学生の反応を受けて、α版の修正・改良に当たる。さら、気管内吸引の技術を周麻酔期看護への活用を検討する。 災害時における看護はその重要性が叫ばれているが、災害が発生しないと経験できないものであり、VRなどの活用により教育に幅が出ることが十分に予想できる。災害時の看護は超急性期の対応や避難所を想定した場面でのVRを活用した教育教材の開発が可能であるため。気管内吸引のVR教材のα版開発に引き続き、災害看護学におけるVR教材の開発に着手する予定である。また、2年次にはStanford University School of Medicine の視察を予定している。
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