研究実績の概要 |
本研究は、重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)データをはじめとしたDPCデータを多施設(1,000施設超)から収集し、「①日々の患者状態の可視化を通じて患者像を解明し診療・ケアの質を評価すること」および「②新たな看護業務マネジメント手法(指標およびその活用方法)を開発すること」を目的とした研究である。 研究の初年度にあたる当該年度は、まず研究実施にあたり、倫理委員会から研究実施の許可を得た。その後、全国の急性期病院に対して、研究目的の説明、参加の依頼、同意の取得、守秘義務契約の締結等を文書で行い、病院からデータを収集後、分析用の大規模データベースを構築した。収集されたデータは2016年10月~2017年3月の間に入院実績のある患者であり、2,154,629症例(延べ41,506,080人日)であった。そのうち、データに不備があった症例を除き、一般病棟の入院患者2,109,468症例(延べ38,900,372人日)について分析したところ、看護必要度の基準を満たした患者は、延べ8,231,074人日(全体の21.2%)であった。基準を満たしたもののうち、「①A項目2点とB項目3点」のみで基準を満たしたものは3,026,745人日(基準を満たしたものの36.8%)、「②A項目3点」のみは419,579人日(5.1%)、「③C項目1点以上」のみは1,596,732人日(19.4%)であった。①、②、③すべての基準を満たしていたものは616,882人日(7.5%)であった。 また、看護業務マネジメント手法の開発に関しては、看護必要度データに基づく看護師の人員配置に関する指標の開発を試みた。その際、看護必要度データのみによる指標算出の限界やその限界への対応方法についての検討も実施した。
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