研究課題/領域番号 |
17H04440
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宮下 美香 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 教授 (60347424)
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研究分担者 |
国府 浩子 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (70279355)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 認知機能 / がん治療 / 運動療法 / 日米比較 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、混合研究法を用いた日米共同研究を行い、両国において認知機能の変化を自覚する乳がん患者に対し、がん患者用に開発したソフトウェアを用いた速度フィードバック療法(運動療法)を実施し、混合研究法により効果の全体像を多面的に把握することである。 平成29年度は、がん患者向けの速度フィードバック療法に用いる装置を開発した。速度フィードバック療法は、パソコンのディスプレイやTV画面等に映し出されるゲームを行う運動療法である。具体的には、患者が自転車ペダルを手や足で回転させ、速さを調節しながら画面に映し出される課題をこなすゲームである。本研究では、患者の通院の負担を軽減するため自宅で行うことのできる装置を用い、認知機能の低下が軽微であるがん患者に適した難易度のソフトウェアを搭載することとした。本研究の対象者は乳がん患者であるため、手で回転させる自転車ペダルは患測上肢の浮腫の要因となることから、足で回転させる自転車ペダルを用い、シンプル且つ軽量の装置となるようパソコンではなくタブレットを用いることとした。また、一般に、がん治療に関連した認知機能障害では、学習、記憶、情報処理、実行機能が障害されることから、これらの機能を高めるためのゲームを2題作成した。本研究は日本と米国で実施するため、英語版も作成し、平成30年3月に装置6台を米国の海外共同研究者3名へ届けた。 がん患者が自宅で行う速度フィードバック療法に用いる装置の日本語版と英語版が開発されたことは、新たなリハビリテーションの提案に繋がることから、意義と重要性を高く評価できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおり、平成29年度に速度フィードバック療法に用いる装置を開発した。患者への説明用の動画、マニュアルやトラブルシューティングについては、平成29年度内に作成を完了することができなかったものの、日本国内の研究分担者および米国の共同研究者へ開発した装置を届けることができた。したがって、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
患者への説明用の動画、マニュアルやトラブルシューティングについては、遠隔でソフトウェアのアップデートが可能であるため、作成次第、アプリケーションを載せる予定である。今後は、米国の研究者との間で共同研究の締結を行い、各研究者が所属施設の研究倫理審査委員会の承認を得て、速度フィードバック療法の有効性を検証するための研究を実施する計画である。
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