研究課題/領域番号 |
17H04440
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
宮下 美香 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 教授 (60347424)
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研究分担者 |
国府 浩子 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (70279355)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | がん / 認知機能障害 / 運動療法 / 国際共同研究 / 混合研究法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本と米国において認知機能の変化を自覚する乳がん患者に対し、がん患者用に開発した装置を用いた認知トレーニング(運動療法)を実施し、量的研究と質的研究を統合する混合研究法により効果の全体像を多面的に明らかにすることである。 平成30年度は、認知トレーニングに用いる装置の使用マニュアルの動画を完成させ、タブレットに載せた。研究計画を精錬するため、米国および日本の共同研究者と研究計画を繰り返し検討した。具体的には、対象者の適格基準、除外基準を根拠に基づき設定した。量的研究である無作為化比較試験において、申請時の計画では介入を6週間行う予定であったが、研究助成期間内に研究を完了するため4週間へ変更し、代わりに1週間に実施する認知トレーニングの回数をできるかぎり3回以上行うことにより、認知トレーニングを強化した。認知トレーニングを希望する対照群の研究参加者に不利益が生じないよう対照群としてのデータ収集が完了した後、認知トレーニングを実施してもらうこととした。その際、補助的なデータを収集するため、同意が得られた研究参加者より認知トレーニング実施前後の量的データを得るよう計画を変更した。対照群の研究参加者の負担を考え、謝礼を追加で差し上げることとした。インタビューでは、申請時の計画どおり症状体験、症状が日常生活へ及ぼす影響、対処法略、ソーシャルサポートについて聴き取る計画とした。分析では日米両国において量的データ、質的データに対する分析をそれぞれ行った後、結果を統合するためジョイントディスプレイを作成することとした。介入の効果を量的分析・質的分析の結果で4つのパターンに分類し、パターン毎に研究参加者の経験を記述し、日米間で比較することにより、量的研究結果の説明と補足を行うこととした。平成31年1月に研究代表者が所属する施設の臨床研究倫理審査委員会に審査申請書類を提出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時の予定どおり、平成30年度に研究代表者の所属施設の臨床研究倫理審査委員会へ申請書類を提出した。しかし、平成30年度末時点において審査が継続されており、年度内に承認を得ることができなかった。そのため共同研究施設の研究倫理審査委員会へ申請書類を提出することができなかったが、承認を得た後、直ちに研究実施に着手することができるよう、海外共同研究者の所属施設との共同研究契約の締結に向け、書類の作成を進めることができた。したがって、やや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の所属施設の臨床研究倫理審査委員会より承認を得た後、共同研究者の所属施設の研究倫理審査委員会より承認を得る。また、米国の共同研究者の所属施設と研究代表者の所属施設間で共同研究契約の締結を行う。日米各2施設における研究を開始する。研究組織体制について、米国の研究実施施設は申請時3ヶ所であったが、共同研究者の一人が介入とデータ収集を辞退したことから、2施設で実施することとし、辞退した研究者は米国における質的分析を担当することとした。研究計画に従い、目標症例数(各国介入群30名、対照群30名)に達するまでリクルート、介入を行う。研究参加者は、4週間にわたり週3回、自宅にて認知トレーニングを行う。安全かつ効果的に認知トレーニングを実施することができるよう、装置の運搬は研究参加者の家族等から支援してもらう、もしくは宅配便で装置を自宅まで送り、研究者が設置する。実施中は毎週電話で実施状況を確認し、研究参加者には無理しないよう伝え、何かあったら連絡を受けるようにする。さらに、研究参加者自身が認知トレーニングの実施前後に血圧を測定し、実施中は心拍数のモニタリングを行い、実施状況を日誌に記載する。データ収集時点は、介入前(ベースライン)、介入終了時(ベースラインから4週間後)、介入後3ヶ月(ベースラインから4ヶ月後)とし、量的データを収集する。さらに、ベースライン、ベースラインから4週間後にインタビューを行う。
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