• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実績報告書

中東・アフリカ・南米の水質汚染解析による都市排水ユニバーサルマーカーの開発

研究課題

研究課題/領域番号 17H04476
研究機関東京農工大学

研究代表者

高田 秀重  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70187970)

研究分担者 O.A Siaw  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 外国人語学教員 (10293549)
渡邉 泉  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30302912)
水川 薫子  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (50636868)
多羅尾 光徳  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60282802)
熊田 英峰  東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (60318194)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード分子マーカー / 合成甘味料 / 人工甘味料 / 抗生物質 / アジア / 中東 / 微生物マーカー / Bacteroides dorei
研究実績の概要

これまで下水マーカーの調査例の無かったイランにおいて調査を行った。2018年7月にテヘランの18地点で表流水を採取した。化学分析用の試料は現地の研究室でろ過し, ろ液を固相抽出し,カートリッジを、ろ液を一部と共に、冷凍保存し,日本へ持ち帰った。日本の研究室において合成甘味料4種と抗生物質26種をLC-MS/MSにて分析した。合成甘味料と抗生物質はともに14/18地点で有意に検出され,山岳地帯の渓流である上流の4地点では検出されなかった。一方下流の都市域ではどちらの成分も高濃度であった。合成甘味料4成分中ではアセスルファム (ACE) の検出頻度が最も高く(14/18地点), 下流域ではACEに加えて, サッカリン, シクラメートが同程度の濃度で検出された。また、ACEの濃度と糞便性大腸菌の数との間には良い相関がみられた(r = 0.756, p = 0.0011) (図2)。抗生物質については, キノロン類, 特にシプロフロキサシンが高い割合で検出され, 腸球菌感染症等に対する日常的な使用が反映されていると考えられた。抗生物質濃度と糞便性大腸菌の数との間にも良い相関がみられた。
微生物マーカーとしてヒトふん便に特異的に見いだされる細菌 Bacteroides doreiの16S rRNA 遺伝子数の計測を行った。B. doreiの16S rRNA 遺伝子数は、テヘラン市内および近郊の試料水ではACE濃度との間に強い相関が認められたことから,B. dorei は人ふん便汚染の指標として有効であると考えられた。また,ACEが検出限界値以下であった地点からも B. dorei マーカ遺伝子を検出できたため,B. doreiがより鋭敏なふん便指標として利用できる可能性も示唆された。今後他のマーカーの測定、他の地域での観測が必要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は従来下水マーカーの調査例の無い中東地域での調査を行い、新規性の高い結果を得ることができた。研究代表者と分担者が同行することにより、化学マーカーと微生物マーカーの比較を行うことができ、微生物マーカーについて新規性の高い結果を得ることができた。また、乾燥地域の内陸での下水処理と地下水の汚染について示唆に富む結果を得ることができた。国数としては1ヵ国であったが、調査のアレンジ、機材の持ち込み、試料の持ち出しなどの手続きに労力を要する地域であることも考えると、おおむね順調と考えられる。

今後の研究の推進方策

微生物マーカー、化学マーカーの比較を行うため、リモートな地点も含む調査を行い、ステロール、アルキルベンゼン等のマーカーも含め、幅広いマーカーの測定を行う。さらに、下水マーカーの調査適用例のない地域での調査を行い、ユニバーサルマーカーの開発に迫る。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] イランの水環境における合成甘味料および抗生物質の分布と下水マーカーとしての評価2019

    • 著者名/発表者名
      武井彩華, Mona Alidoust saharkhiz lahiji, 高田秀重, 多羅尾光徳, Hashemi Seyed Hossein
    • 学会等名
      第53回日本水環境学会年会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi