研究課題/領域番号 |
17H04488
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
柳 憲一郎 明治大学, 法学部, 専任教授 (80132752)
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研究分担者 |
小松 英司 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (10391103)
岡松 暁子 法政大学, 人間環境学部, 教授 (40391081)
大塚 直 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90143346)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | CCS / 包括的法規制 / アジア太平洋地域 / ポリシーミックス / 多国間協定 / 二国間協定 / CCUS |
研究実績の概要 |
アジア太平洋地域におけるCCSの社会実装を目指すため、この地域に適用する包括的なCCS法の基本的枠組みや多国間協調のあり方を見出すため、本年度実施した中国での調査結果は以下のとおりである。中国では、過去5年間でCCS/CCUS導入・普及に向け取組みが成されており、著しい成果を出している。ポスト京都議定書であるパリ協定が締結された今、先進国のみの責任ではなく、途上国や新興国、また二酸化炭素の主要排出国として中国は地球温暖化防止の責務が求められる。中国は、経済成長、エネルギー・資源需要、主要排出国としてのGHG削減の責務など様々な国内の政策課題に取り組んでいく必要があるが、この状況の中国が掲げた2030年の温室効果ガス削減目標 を達成するためにはCCS/CCUSは重要な技術の一つとなるであろう。一方、同技術の導入には様々な経済的、環境的、社会的要素を考慮せずには実現は難しく、そのためには法制度改革は必須となっていることを論じた。「第12次5カ年計画」では、中国は試験的、実証的なCCS/CCUS導入に向け取り組んできた。最近発表された「第13次5カ年計画」では、まだ今後の具体的施策が見えていない。「第12次5カ年計画」から継続された技術開発を維持し、どのように法制度改革、経済的支援の強化、国民の理解等などの残された多くの課題に取組み、商業化のロードマップを実現していくのか今後の動向に注目したい。中国におけるCCSの法規制・政策について論じたが、中国は包括的なCCS法が整備されていない中、計画・政策及び既存法に従い、17件のCCSプロジェクトが計画・実施されている。この状況はわが国でも同様であることから、CCSの法制度、包括的なCCS法及びCCS-Ready政策を見出すため、引き続き、日本と中国のおけるCCSの法規制やCCSプロジェクトに関する比較研究を行うことは重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究方法・計画に示した通り、2年度目の中国の法規制・政策に関する研究内容はすべて実施し、中国における政策担当者へのヒアリング・議論を行って、その課題について検討を行った。その研究結果に基づき、わが国とのCCSの法規制制度との比較研究を行い、本研究の骨格となる包括的CCSの基本的枠組みと個別対応すべき制度的課題を明らかにした。また、アジア開発銀行のCCS開発の担当者、3年度目に現地調査を行うインドネシアの政府機関及び企業のCCS担当部署の担当者が参加するセミナーに参加し、アジアのCCSの法規制の現状や実証実験への取組などに関し、協議を行い、アジア諸国のCCS関連法規の比較研究に基づくほとんどのアジアの諸国ではCCSを実施・推進する法政策が未整備でCCS事業が実施できない状況であることを明らかにした。 これらの結果から、アジア太平洋地域では、本課題であるアジア太平洋地域における地域・特性に適した包括的なCCS法規制の枠組みや適地にCCSを導入することを図る最適なポリシー・ミックスや国際間協調の枠組みの構築が当該地域のCCS事業の実施には必須である。
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今後の研究の推進方策 |
3年度目に現地調査を行うインドネシアの政府機関及び企業のCCS担当部署の担当者が参加するセミナーに参加し、アジアのCCSの法規制の現状や実証実験への取組などに関し、協議を行い、アジア諸国のCCS関連法規の比較研究に基づくほとんどのアジアの諸国ではCCSを実施、推進する法政策が未整備でCCS事業が実施できない状況であることを明らかにした。 これらの結果から、本課題である「アジア太平洋地域における地域・特性に適した包括的なCCS法規制の枠組み」や「適地にCCSを導入することを図る最適なポリシー・ミックスや国際間協調の枠組み」の構築の観点から、関係政府行政機関や研究機関との連携をさらに図り、共通の基盤であるCCUSプラットホームの構築を目指すことにしたい。
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