研究課題/領域番号 |
17H04492
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研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
米延 仁志 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (20274277)
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研究分担者 |
大森 貴之 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (30748900)
星野 安治 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究員 (50644481)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 年輪年代学 / 年輪気候学 / 熱帯収束帯 / 気候復元 / C-14 Bombシリーズ / 中南米 / 14C Bombシリーズ |
研究実績の概要 |
地球環境の変動を正確に把握するためには,気候復元地点の空間密度の向上が重要である。とりわけ,中南米の熱帯域ではこれまで年輪気候学研究がなされておらず,それ故,核実験起源の14C 濃度(C-14 Bombシリーズ)の空白地帯となっている。後者は,14C 年代測定の精度向上に重要な役割を果たす。本研究では,両者の課題を解決することを目的とする。中南米の南北熱帯収束帯に着目し,グアテマラ南部,ペルー北部での海外学術調査を実施して,樹木年輪試料を収集する。本年度は,グアテマラ低地南部で樹木年輪試料を採取した。またグアテマラ高地で採取した試料(Mexican cypress),及びペルー中部山岳地域で採取した試料(Copaiba)の木材の組織構造の分析と年輪解析を実施した。その結果,ペルー産樹木年輪試料は良好なクロスデーティングの結果が得られ,年輪年代学的に有用な樹種であることが判明した。さらに現地周辺の気象データとグリッド気温データの収集とクォリティーチェックを実施し,年輪気候学的解析に備えた。グアテマラ産試料では,近年の降水量の増加に伴い,偽年輪の形成頻度が増加し,年輪年代の確定が困難な樹種であることがわかった。そのため,核実験起源C-14のアノマリーを併用して,年代の確定を進めることとした。これらのC-14 Bombシリーズ構築のためのC-14濃度測定,及び炭素,酸素安定同位体測定試料の調製を進めた。 なお,本研究の調査・試料収集ではグアテマラの若手研究者との国際共同研究を実施し,日本に招聘し,調査現地でのさらなる試料収集と現地への成果還元の方途について競技した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り,中米・南米両地域での試料の採取をほぼ完了した。今後は,標準年輪曲線作成のための標準化手法の最適化を進めつつ,並行して気象データとの応答関数解析を実施して,採取した樹種の気候復元の実証データを完備し,最終年度後半には論文投稿への目処がたった。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り,最終年度には標準年輪曲線を用いた古気候復元を実施する。また,14C Bomb シリーズの既存炭素循環モデルを更新し,地域差を明らかにする。標準年輪曲線を用いた気候復元,14C Bomb シリーズのデータ解析(炭素循環モデリング)と成果の公表を重点的に行う。Dendrochronologia, Radiocarbon等,当該分野の専門家が一次情報として利用する専門誌に論文を投稿する。
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