研究課題/領域番号 |
17H04511
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
岸川 毅 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (60286755)
|
研究分担者 |
飯島 真里子 上智大学, 外国語学部, 准教授 (10453614)
谷 洋之 上智大学, 外国語学部, 教授 (40278213)
Neves MauroJr 上智大学, 外国語学部, 教授 (40286753)
子安 昭子 上智大学, 外国語学部, 教授 (50296943)
松田 康博 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50511482)
園田 節子 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (60367133)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 地域間関係 / ラテンアメリカ / アジア太平洋 / 中国 / 華僑華人 |
研究実績の概要 |
平成29年度はメンバーそれぞれの担当領域と調査対象国に関して先行研究の把握と批判的検討を行うとともに、海外調査を開始した。 東アジア諸国のポップカルチャーの南米諸国における受容についてチリ、アルゼンチン、ブラジル(ネーヴェス)、東アジアとの経済関係についてメキシコ、コロンビア(谷)、カリブ海地域における華僑華人の定住と変容についてトリニダード・トバゴ(園田)、東アジア諸国と南米現地社会の関係についてペルー(岸川)、南米内の太平洋側と非太平洋側の関係についてペルー(子安)、太平洋地域におけるヒスパニック移民・労働者についてハワイ(飯島)で現地調査を実施した。 調査結果は研究会(2017年11月4日、2018年2月19日)において報告・検討した。東アジアとくに中国の進出の状況に関して現地の経済界や社会の受入れ姿勢が国ごと・政権ごとに相当異なること、ラテンアメリカ・カリブ地域の華人コミュニティーが中国大陸や台湾の政治経済変動と対応しながら変容してきたこと、文化領域においてはとりわけ韓国が積極的に進出し各国で受容されていること、非太平洋側南米国家も経済上の関心からアジア太平洋地域に目を向けているが依然として地勢的・心理的な障壁が存在すること、メキシコから米国を経て太平洋地域へと労働者の移動の流れができつつあることなど、地域間関係の具体的進展の諸相が明らかになった。 加えて、本研究計画に関連する歴史的な地域間の人の移動と融合の例として、ポルトガル系マカオ人の歴史と現状に関するヒアリング(2017年12月26日)を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画の中心的活動である海外調査はほぼ計画通りに進んでいる。メンバーそれぞれの現地調査の進捗状況は、新たな事例に取り組む段階か、研究蓄積のうえに分析を深める段階か等によって異なるが、情報交換や研究会を通じて調査結果を共有し議論を深めるなかで、個々の研究を超えた視点を得ることができ、また地域間関係の全体像の理解が深まった。 初年度であるため学術論文として完成させる段階にはないが、成果の一部は学会発表、講演、論考などに反映され、また次年度の共同での学会発表に向けて準備が進んでいる。一方、先行研究のレビューについては発表のタイミングがやや遅れているものの、次年度には雑誌等に掲載を予定している。 したがって全体としておおむね順調に進んでいると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、以下の方針で研究を進める。 第一に、ラテンアメリカ・アジア関係の歴史的・現代的展開に関して、各メンバーの分担にもとづく海外調査を継続する。具体的には、中米諸国と中国・台湾の政治外交関係および現地社会の反応に関する調査(松田、岸川)、太平洋側ラテンアメリカ諸国と東アジア諸国との経済関係についてのメキシコ、チリでの調査(谷)、アジア諸国のポップカルチャー受容に関するメキシコ、コロンビアでの調査(ネーヴェス)、ヒスパニック移民・労働者に関するハワイでの調査(飯島)、ラテンラテンアメリカ・カリブ地域の華僑華人に関する台湾・香港での文献調査(園田、岸川)を予定している。 第二に、メンバー間の情報交換と議論を通して、地域間関係の全体的動向を明確化する作業を進める。研究代表者は、全体の議論をとりまとめるとともに、地域間関係に関する最新文献を収集する。あわせて、非太平洋国家とくにブラジルの対太平洋政策に関する文献収集と分析を進める(子安)。 第三に、11月にマカオで開催されるCELAO(アジア大洋州ラテンアメリカ研究協議会) 大会においてパネルを組織し、本プロジェクトの前半の成果を報告する。そこでの議論をもとに後半の研究計画について検討を加える。
|
備考 |
幡谷則子、Neves Mauro、岸川毅、飯島真里子 アジア太平洋時代のラテンアメリカ―新しい地域間関係の生成と共同研究のあり方をめぐって(パネルディスカッション)、上智大学研究機構ソフィアリサーチウイーク 2017年11月
|