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2018 年度 実績報告書

21世紀のウォーター・フロンティア:ベトナム南部メコンデルタの多民族社会

研究課題

研究課題/領域番号 17H04515
研究機関奈良大学

研究代表者

芹澤 知広  奈良大学, 社会学部, 教授 (60299162)

研究分担者 小林 知  京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (20452287)
下條 尚志  静岡県立大学, 国際関係学研究科, 助教 (50762267)
伊藤 まり子  京都外国語大学, 国際言語平和研究所, 客員研究員 (70640887)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードベトナム南部 / メコンデルタ / 多民族社会
研究実績の概要

ベトナム南部での実地調査を、とくにメコンデルタのチャビン省に焦点をあてて行った。共同調査を年度のあいだに2回行い、とくに同省チャウタン県の農村部でのインタビュー調査を行った。共同調査を実施するうえでは、チャビン大学事務局の国際交流部局、学部の教員と学生の協力を得た。研究関心の相互理解を兼ねて、日本人による実地調査方法や研究事例を紹介する特別講義もチャビン大学で1回行った。
前年度に引き続き、当該地域の社会生活にとって重要な宗教施設、商業施設を訪問した。そのなかには前年度までに訪問をしたことのない施設も含まれている。
インタビュー調査では、クメール人の世帯を中心に、生業、婚姻、祖先祭祀など、社会生活の多くの側面について情報を集めた。高齢の夫婦が、出稼ぎによって遠くに住む自身の子ども夫婦の子ども(自身の孫にあたる)を世話をしていることなど、居住、生計と人々の移動が関わり、個々の側面がつながって暮らしが成り立っていることが明らかになったケースもあった。そして当該地域の歴史的な変遷を含め、チャビン省農村について具体的にイメージをすることが可能になってきた。
しかし実地調査においては、インタビューで聞いていることを確かめるために、観察、とりわけ参与観察を行うことが重要になるが、そのような機会には未だ多く恵まれていない。また、地区を絞った農村部の調査とは別に、そこに住む人々の暮らしが、より大きな地域、他の地区とつながっている様態を見ることも重要になるが、それは今後の課題である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度から準備をし、継続して行っているチャビン省での実地調査では、調査を進めることが難しいような場面も多々あるが、当該年度に行った農村部でのインタビュー調査などから、新しい情報が着実に蓄積されてきている。

今後の研究の推進方策

調査対象地域の年中行事に合わせて施設を訪問し、参与観察を行うことから、インタビュー調査の補完を考えたい。メコンデルタ地域をベトナムの国家とは違った視点から見るために、実際に国境を越えてカンボジアでの実地調査を試みたい。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 在日ベトナム人コミュニティにおける母語教室のあり方   -在日ベトナム人2世の言語状況から見る「葛藤」をめぐって-2019

    • 著者名/発表者名
      野上恵美
    • 雑誌名

      ことばと社会 東京 ことばと都市の統合的理解へ

      巻: 20 ページ: 193-201

  • [雑誌論文] Nhat Ky Dien Da Ve Cac Co So Tin Nguon- Ton Giao Huyen Chau Thanh, Tinh Tra Vinh (チャビン省チャウタン県の各信仰宗教施設についての実地調査)2018

    • 著者名/発表者名
      Satohiro Serizawa (Tran Hong Lien dich(訳))
    • 雑誌名

      Nam Bo: Dat va Nguoi (南部:土地と人)

      巻: 13 ページ: 592-612

    • 査読あり
  • [学会発表] The Chinese Descendants in the Rural Mekong Delta: The Cases in Tra Vinh Province, Vietnam2018

    • 著者名/発表者名
      Satohiro Serizawa
    • 学会等名
      International Conference of Chinese Diaspora and the Contemporary Rise of China: Migration, Settlement and Transnational Networks (ISSCO 2018) (The University of Melbourne)
    • 国際学会
  • [学会発表] 香港の蕉嶺同郷会に貢献した東南アジアの客家系商人 -ジャカルタの呉嵩喜に焦点をあてて-2018

    • 著者名/発表者名
      芹澤知広
    • 学会等名
      日本華僑華人学会2018年度研究大会(東洋大学)
  • [学会発表] ヌン族の華人の宗教施設に見るベトナムとオーストラリアの関係2018

    • 著者名/発表者名
      芹澤知広
    • 学会等名
      国際シンポジウム「客家エスニシティとグローバル現象――華僑華人の拡がりと現在」(国立民族学博物館)
    • 国際学会
  • [学会発表] 趣旨説明 東南アジアとアフリカの移行期正義とその後:和解と社会統合をめぐる比較検討2018

    • 著者名/発表者名
      小林知
    • 学会等名
      東南アジア学会第99回研究大会
  • [学会発表] カンボジアにおける移行期正義の二重構造がもたらした問題2018

    • 著者名/発表者名
      小林知
    • 学会等名
      東南アジア学会第99回研究大会
  • [学会発表] サンガハの研究:経済発展下のカンボジア農村における脆弱性の拡大と宗教実践の多様化2018

    • 著者名/発表者名
      小林知
    • 学会等名
      日本文化人類学会第52回研究大会
  • [学会発表] 統治と生存の社会史―脱植民地化以降のベトナム南部メコンデルタ多民族社会における世界観と国家2018

    • 著者名/発表者名
      下條尚志
    • 学会等名
      日本文化人類学会第52回研究大会
  • [学会発表] ベトナム南部メコンデルタ多民族社会の民族・宗教・越境2018

    • 著者名/発表者名
      下條尚志
    • 学会等名
      東南アジア学会・北海道・東北地区例会シンポジウム「境界からみるアジア―宗教の中心と周縁」
  • [図書] 「水資源の開発と先住民の文化 ―奈良県の津風呂ダム建設の歴史に学ぶ-」市川良哉編『歴史文化への視座』2019

    • 著者名/発表者名
      芹澤知広(分担執筆)
    • 総ページ数
      238
    • 出版者
      山の辺文化会議
  • [図書] 「第4章 カトリックが持つ異文化をつなぐ媒介力」高橋典史・白波瀬達也・星野壮編著『現代日本の宗教と多文化共生 移民と地域社会の関係性を探る』2018

    • 著者名/発表者名
      野上恵美(分担執筆)
    • 総ページ数
      240
    • 出版者
      明石書店

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公開日: 2019-12-27  

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