代表者石原は、2020年度においては、これまでエチオピアのムスリム・オロモ社会における現地調査で収集・蓄積してきた画像データ、音声データのデジタル化に取り組んだ。1990年以来現地で撮影してきたネガ・ポジのフィルム画像をデジタル化を専門とする業者に委託して、デジタル・データに変換した。また音声データについても、カセット・テープで録音してあったインタビューの音声データを、一部デジタル化した。その一部は、石原編著『愛と共生のイスラームー現代エチオピアのスーフィズムと聖者崇拝』(2021年3月刊行、春風社)で利用している。 分担者吉田は、2020年度においては、これまでエチオピア南西部において収集・集積してきた音声データのデジタル化に取り組むと共に、現地と電話などで連絡を取りながら遠隔で情報収集を実施し、随時、現地の動向のアップデートに努めた。その成果の一部は、上記『愛と共生のイスラーム』に論文「第10章 引き継がれるアルファキーの「仕事」:トリ集落とアブドゥルカリーム」に盛り込まれている。 デジタル化することによって、これまで調査者個人が現地で収集してきた音声・画像データをアクセス可能な状態に変換したことになる。今後は、このデジタル・データをどのように保管・利用すべきなのかについて検討していきたい。30年来のインタビューから得られた地域史の貴重なデータが含まれているので、然るべき方法で保管するとともに、現地への還元の仕方についても検討してきたい。
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