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2017 年度 実績報告書

中央ユーラシア高地民・低地民の相互交流と騎馬遊牧社会の成立基盤に関する考古学研究

研究課題

研究課題/領域番号 17H04533
研究機関東京藝術大学

研究代表者

久米 正吾  東京藝術大学, 社会連携センター, 特任講師 (30550777)

研究分担者 宮田 佳樹  金沢大学, 先端科学・イノベーション推進機構, 博士研究員 (70413896)
早川 裕弌  東京大学, 空間情報科学研究センター, 准教授 (70549443)
藤澤 明  帝京大学, 付置研究所, 講師 (70720960)
覚張 隆史  金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 特任助教 (70749530)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード考古学 / 天山山脈 / フェルガナ盆地
研究実績の概要

本研究は、中央アジア東部地域における農耕牧畜社会の成立過程について、地理的環境の異なるキルギス、天山山中及びウズベキスタン、フェルガナ盆地にそれぞれ所在する考古遺跡の比較調査を実施することによって明らかにすることを目的とする。平成29年度は以下の調査を実施した。

(1)フィールド調査:ウズベキスタン、フェルガナ盆地の調査では、主な研究対象であるダルヴェルジン遺跡の共同発掘調査を中心とするウズベキスタン側との共同研究に関する合意書を結び、今後の調査体制を確立した。また2月に同遺跡の測量調査を実施し、次年度の発掘調査開始に向けた基礎的作業を進めた。キルギス、天山山中での発掘調査は降雪のない夏季のみ実地調査が可能であるが、今年度は夏季に調査のスケジュール調整ができなかったため、やむを得ずキャンセルした。
(2)標本調査:ウズベキスタン、フェルガナ盆地における過去の発掘で出土した動物遺存体の提供を現地側から受け、その記載と分析を実施した。また記載した動物遺存体の中から古代DNA及び同位体分析のための標本を少量選別し、日本に輸出して分析の準備を進めた。キルギスでは、過年度の調査においてモル・ブラク1遺跡から出土したが未整理であった植物遺存体の記載と分析を実施した。また、同遺跡を含む天山山中3遺跡の動物遺存体から古代DNA及び同位体分析のためのサンプリングを現地で実施し、国内に輸送してコラーゲン及びDNAの抽出作業をおこなった。また、過年度に発掘を実施したアイグルジャル3遺跡から出土した青銅製品の成分分析及び鉛同位体分析のためのサンプリングを現地で実施した。
(3)成果の公表:来日した植物考古学者の海外研究協力者をまじえ、栽培植物や家畜を通じたユーラシア東西の文化交流の起源に関する国際シンポジウムを共催した。またキルギスで開催された国際研究集会において本研究成果に関する招待講演をおこなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

フェルガナ盆地では、ダルヴェルジン遺跡の新規共同調査を予定通り開始することができた。また過去の発掘で出土した動物遺存体の形態学的、理化学的分析を進めるなど、当初の計画以上の進展もあった。
また、発掘調査をキャンセルせざるを得なかったキルギスでは、延べ3回の現地標本調査をおこない、過年度に出土した標本の各種理化学分析を加速的に推進させた。
共催した国際シンポジウム(栽培植物を通じた東西交流のはじまり -シルクロードの古層を探る-)は、他の代表者による科研費プロジェクトと連携する機会を創出する場ともなった。また、同シンポジウムに参加した海外研究協力者の来日日程に合わせて研究会議を開催し、国内メンバーのみならず海外メンバーとも本研究の進捗状況や成果の情報共有を図ることができた。

今後の研究の推進方策

(1)フィールド調査:フェルガナ盆地、ダルヴェルジン遺跡の調査は平成30年度から予定通り発掘調査に移行し、考古記録の収集、解析をすすめる。また、天山山中、モル・ブラク1遺跡の発掘調査を今年度は確実に実施するために、気候条件の良い初夏に発掘調査を実施する日程に前倒しする。なお、モル・ブラク1遺跡の発掘では、特に過年度の発掘において未確認であった最下層まで到達するための深掘り調査を実施し、遺跡編年を確立する。
(2)標本調査:昨年度サンプリングした試料の各種理化学的解析を分担者が中心となって国内で進める。キルギスでの標本サンプリングについては、集約的に昨年度実施したため、サンプリングの重点をウズベキスタンの標本に移し、天山山中とフェルガナ盆地の比較研究のための基盤を整備する。また、高地に位置するキャンプサイトであるため出土遺物が希薄なモル・ブラク1遺跡とは異なり、村落遺跡であるダルヴェルジン遺跡からは多量の土器、石器、金属器などの人工遺物が出土すると想定されるため、考古遺物の記載、解析を推進する。また、標本数の少ないモル・ブラク1遺跡では実施できなかった土器付着物の脂質分析についてもダルヴェルジン遺跡では試行的に実施し、当時の消費食物や調理手法の観点から動植物利用について多面的に調べる。
(3)成果の公表:過年度より調査を継続中である天山山中の調査研究成果をとりまとめ、学会等での発表、出版を進める。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2017 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [国際共同研究] 中央アジア・アメリカ大学/キルギス=トルコ・マナス大学(キルギス)

    • 国名
      キルギス
    • 外国機関名
      中央アジア・アメリカ大学/キルギス=トルコ・マナス大学
  • [国際共同研究] ウズベキスタン科学アカデミー考古学研究所(ウズベキスタン)

    • 国名
      ウズベキスタン
    • 外国機関名
      ウズベキスタン科学アカデミー考古学研究所
  • [国際共同研究] ヴィリニュス大学(リトアニア)

    • 国名
      リトアニア
    • 外国機関名
      ヴィリニュス大学
  • [雑誌論文] 河姆渡文化における煮沸土器の使い分けと調理に関する学際的研究2017

    • 著者名/発表者名
      久保田慎二・小林正史・宮田佳樹・孫国平・王永磊・中村慎一
    • 雑誌名

      中国考古学

      巻: 17 ページ: 73-82

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Early developments of the Silk Road in high altitude zones in Kyrgyzstan2017

    • 著者名/発表者名
      Kume, S.
    • 学会等名
      Documentation of archaeological sites in the upper Syr Darya
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] シルクロードの基層を探る最近の研究動向について2017

    • 著者名/発表者名
      久米正吾
    • 学会等名
      国際シンポジウム 栽培植物を通じた東西交流のはじまり -シルクロードの古層を探る-
    • 国際学会
  • [学会発表] 中央アジア東部における初期農耕牧畜社会の成立をめぐって -シルクロードの古層を探る-2017

    • 著者名/発表者名
      久米正吾
    • 学会等名
      2017年度第1回シルクロード学研究会
    • 国際学会
  • [学会発表] 前期青銅時代のシリアTell Rumeilah墓群に残された土器の残留有機物分析2017

    • 著者名/発表者名
      堀内晶子・下釜和也・久米正吾・吉田邦夫・宮田佳樹
    • 学会等名
      第34回日本文化財科学会(ポスター発表)
  • [学会・シンポジウム開催] 国際シンポジウム 栽培植物を通じた東西交流のはじまり -シルクロードの古層を探る-2017

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公開日: 2018-12-17  

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