研究課題/領域番号 |
17H04552
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
大野 敦 立命館大学, 経済学部, 准教授 (20432726)
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研究分担者 |
牧田 りえ 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (20585450)
坂田 裕輔 近畿大学, 工学部, 教授 (50315389)
山尾 政博 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (70201829)
箕曲 在弘 東洋大学, 社会学部, 准教授 (70648659)
池上 甲一 近畿大学, 農学部, 教授 (90176082)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | フェアトレード / 開発 / 倫理的消費 / 国際正義 / コスモポリタニズム |
研究実績の概要 |
2018年度は、3カ年の研究期間のスタートの年であり、共同研究者は、それぞれの基礎的研究を進める一年であった。本年度は、以下の、1、サーベイ研究、2、理論的研究、3、仮設の詳細な設定のためのフィールドワーク、4、今後の研究を進めるための国際的ネットワークづくり、の4点を重点的に行った。 1のサーベイ研究では、研究者は個々に関心領域に基づく研究を進め、共同研究会での研究の進捗状況の報告を行った。 2の理論的研究という点では、研究代表者を中心に倫理的消費に関わる基礎的な理論研究が行われた。共同研究会での発表が行われ、すでに雑誌への論文投稿が完了し、掲載が確定している研究が存在している。 3の仮説の詳細な設定のためのフィールドワークという点では、個々の研究者はそれぞれの担当地域(アジア・アフリカ・アメリカ)でのフィールドワークを行い、現地での仮説設定とデータ収集などを行った。次年度はより深いデータの収集と解釈を進める。 4の今後の研究を進めるための国際的ネットワークづくりという点では、台湾、韓国、タイの研究者と共同研究を行うための話し合いが開始された。最終年度の成果創出のために一定程度の成果を上げることができたと言える。こうした中で、学会発表や論文という形で、それぞれ成果を上げることができた。当初の予想通りに進行していると言える。 これまでのところ、わかったことは、欧米やアジアにおける倫理的消費の変遷が、かなりの程度まで当該国の制度に大きく影響を受けていること、また、消費者運動・情報の確定方法・政府の関与が倫理的消費をめぐる当該国のあり方を強く規定しているということであった。今後は、理論的研究をより深めつつ、これまでに検討した国々でのデータ獲得を進めるべく、研究を充実させていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際開発学会などの関連学会でメンバーが参加する機会が多数存在したこともあり、1回の共同研究会なども含めて、多くの研究調整や意見交換等をおこなった。こうしたプロセスを重ねることで、2018年度に本格的なデータ収集をおこなう準備を順調に進めることができた。また、2018年度からはじめる予定の本格的な国際共同研究で、充分な活動資金が得られない可能性が出てきた。この対策として、研究代表者と個々の研究者とでその対応策を考えはじめている。分担者の研究活動も、それぞれ順調に書籍、論文、内外の学会での報告などをおこなっている。いくつかの論文はすでに雑誌への掲載が確定している。こうした積み重ねられた研究成果をいかし、国際的な共同研究に臨む準備を着実に進め、2018年度の研究につなげる予定である。
当初は倫理的消費に関するデータを作成することを計画したが、日本だけでなく、海外の研究者の関心も高いことから、東アジア諸国のフェアトレードに対する倫理的消費者の意識に注目することにした。アジアでの倫理的消費に対するデータ収集を通して、グローバルに活動する倫理的消費とコスモポリタン倫理というものの整合性の可否を広い視野での考察ができるよう取り組む。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度への成果発表を念頭に、2018年度は個々の研究者が行なっていた調査を研究会等で発表し、より進化させる年度になる。そのため、春・秋・冬に3回程度の研究会を実施し、相互に発表・検討を行う。また、国際的な共同データ作成が本研究の重要な成果となるため、そのデータの採取に向け、海外との調整を行う予定である。加えて、関連する学会にメンバーが出席する機会を利用して、研究調整や意見交換をおこなう予定である。 これまでの研究成果を充分にいかすために、1.倫理的消費に関わる統一データの採取、2.フィールドワーク先での生産者や中間流通の調査、3.それらを統合する理論的調査、などを具体的テーマとして検討する。また、具体的には、研究代表者を中心に基礎的な理論研究を行うグループと、共同研究者を中心にフィールド研究を行うグループの二つが存在するが、できるだけ共同研究ができるテーマに絞り、倫理的消費の国際展開の根本的問題を探り、解決のための提言をおこなうことができるようにする。 本研究では、これまでのフェアトレードをはじめとした倫理的消費と生産システムの課題を解決する知識と学問的限界を充分に理解したうえで、現代の同領域の問題に対処できる学知を構築するため、フィールドから観察する現場からの声を重視し、基礎理論研究を現実の課題解決のための実証研究に結びつけることを目的としている。
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